二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ブリーチ 夜を超える者達 一ノ二ノ一更新 9/24 ( No.38 )
- 日時: 2012/10/24 15:02
- 名前: スターク ◆FwuTUrVzG2 (ID: 68i0zNNK)
礪月様へ
いつも雑談の方ではお世話になっています。
ちょくちょく来てくださるのですか!? 嬉しい限りです♪
最近、一護でませんからね? まぁ、今出てこられても迷惑な気がしますが(苦笑
では、着て下さって有難うございました!
______________________ここから本編________________________
第一章「闇の軍勢」 第二話「黒き者達」二頁目
「見えてきた、浦原商店だ!」
浦原商店——現世に駐在し、任務をこなす死神達のバックアップを主な業務としている、表向き駄菓子屋だ。昔は、浦原商店の主要な面々が、須らく無実の罪を課せられていたせいで、一般の死神には、その存在が明るみに出ていなかったが。その無罪が証明され、一護の師匠であり商店の店長でもある浦原喜助は、今は公然と現世で商売している。
そう言えば、ここに来るのも久し振りだと一護は感慨に耽り、眉を潜めた。そんな一護の一挙手一投足まで、恋する乙女織姫は観察している。そして、一護の普段見せない表情に、頬赤らめた。その一方で感じ慣れない霊圧を察知し、声を上げる。
「あっ、死神さんが立ち寄ってる所みたいだね?」
「あぁ、知らねぇ霊圧だな……だが、強ぇ」
「当り前だろう? このお方は、今の七番隊隊長だ」
「へぇ、そうなんだぁ? どんな人か楽しみだなぁ」
浦原商店は、基本的に年中無休で、二十四時間営業だ。それも死神達の業務に朝も夜も無いことを、店長及び店員各位が身に染みて知っている故だろう。最近は関東地方を中心に北は北海道から南は沖縄まで店舗造営し、仕事に炙れた死神や、引退して暇を持て余す死神を店員にしているのだ。
昔は、六時位には店仕舞いして居たのに、と今の栄華を織姫は喜びながら、過去の静かだった浦原商店に思いを馳せる。そうしている織姫を他所に、一護も浦原商店から立ち込める霊圧を感じ取り、感想を漏らす。
先程、闘ったエツゥナイと比べればまだ低いが、凄まじい霊圧だ。確実に実力者だろう。隊長級、もしくば世代交代の上で隊長になった自分の知らない戦士、と辺りを付けてみる。そんな中、頭をぼりぼりと掻き、ルキアが説明をする。どうやら、クインシーとの戦いで落命した七番隊隊長、狛村左陣の後釜らしい。
それを聞いて、一護達現世組は暗い表情を浮かべた。質実剛健で、強く頼れる男だった彼の死は、今でも彼らの中に大きな悲しみとして残っている。彼以外にも、無敵とすら思えた隊長達が、クインシーとの戦いでは半分以上命を落としたのだ。
それに近い被害が出るであろう戦いが、確実に迫っている。皆がそう直感した。一方で、織姫は周りの硬い雰囲気を払拭しようと、明るい口調で率直な疑問を口に出す。それに対し、ルキアが苦笑しながら、新七番隊隊長の人柄や強さ、容姿についてを話し始めた。
「そうだな、狛村隊長程ではないが、七番隊らしい豪胆で実直な性格。それでいて、上級貴族出身らしい美麗な振る舞いが同居した美男子だ。美顔と立ち居振舞いも相俟って、女性人気は高いな。当然ながら、武勇にも長けていて、特に卍解は昇風系最強クラスの殺傷力と攻撃範囲を兼ね備えているらしい。文武両道、容姿端麗と正に上に立つ者の理想像だな!」
「うーん、凄く魅力的な人みたいだね! 速く会いたいなぁ」
「そう急がずともすぐそこにいるのだから……」
「あっ、そうだったね! 所でその人の名前は?」
「あぁ、忘れていたな。飛燕崎竜魔(ひえんざきりゅうま)という名前だ」
ルキアの言葉を聞き、興味津々な表情を浮かべながら、織姫はまだ見ぬ七番隊隊長の姿を思い描く。豪胆ながら流麗という相反するような情報のせいで、元々の彼女の想像力の影響もあって、彼女の中の七番隊隊長像は途轍もなく奇異な姿となっていた。
そんな逡巡しハッとなったような表情を浮かべている織姫を見ながら、ルキアは笑う。「恐らくお前の考えは間違えだから安心しろ」と、彼女の笑みは言っている。織姫は頬を赤らませ、想像していることばれちゃったと、気恥ずかしそうに舌を出す。
そして、七番隊隊長に夢を馳せるように言う。それに対し、目と鼻の先にその人はいるだがと、笑いながら指摘する。なぜかしてやったりと言った風情で胸を張るルキアに対し、対抗心を燃やし織姫はお返しとばかりに、ルキアの説明に忘れていることがあると暗に指摘する。
ルキアは「あぁ」と気のない声を出し、よどみない口調で隊長の名を言った。
そんな話をしているうちに、浦原商店の裏口に着く。世間の目を欺くために行っている駄菓子屋は、六時頃になると閉店するようにしている。ちなみに死神が商店を利用するときは、基本的に周囲にばれないように、裏口から入るのが暗黙の了解だ。
当然、霊なる物の関係する事案に対する相談なども、裏口を介して行われる。
「入ってくださーぃ」
「浦原さーん、居るかぁ?」
「おやおやぁ? 黒崎さん達じゃないっスかぁ? 朽木さんや阿散井さんまで……」
「前置きは良いだろう? 浦原元十二番隊隊長?」
「そっスねぇ? 最初から黒埼さん達が訪れた理由なんて分かりきっていますしねぇ」
「話が速いな」
「あんな大きな霊圧感じたら、そりゃぁ察しますよぉ?」
二回ほどノックし、馴染みのある声を聞き丁寧に扉を開く。そして一護は、浦原の名を呼ぶ。すると待ってましたとばかりに、緑色の甚平を着た、下駄を履いた眠そうな無精ひげが怪しい男が現れる。彼が浦原喜助だ。
男は扇子を広げ口を隠しながら、にたにたと笑い冗談めかしてまるで予想外の来客というような態度をとる。そんな浦原を、聞きなれない声が叱責する。額の音に似た美しい声だ。霊圧から察するに、どうやら新七番隊隊長飛燕崎竜真その人らしい。
浦原は彼の言葉にはにかみながら、先程のへらへらした表情とは全く違う鋭い眼光で一護達を見つめる。それに対しルキアが茶々を入れるが、浦原は何も答えた様子はなく、先程の大激突を無視できるはずがないと嘆かわしそうに言う。
どうやら、浦原自身にとっても眩暈がするほど面倒な案件らしい。最も、クインシー襲撃以来の世界存亡の危機なのだから、当然だが。
「浦原さん、あれの正体知ってるか?」
「……それほど情報があるわけではないですが、貴方方よりは」
浦原でもその程度の情報しかないのかと、質問した当人である一護は呆然とする。
「取り合えず立話も何ですし、お茶を用意しますので座ってください」
焦燥感で押しつぶされそうな表情をする一護を慮るように、浦原は言う。直ぐに筋骨隆々としたトレッドヘアの巨漢が、お茶を卓袱台に丁寧に置く。一護達は言われるままに、座布団に座った。
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