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第一章ノ一部「あやかしと陰陽と」





「おー、玄関壊されちゃった」

「暢気に言ってる場合か。片付けるぞ」



朝食を摂っていた二人はせっせと玄関に向かう。
そして後から続くように、住人達は破壊された玄関を見つめる。
玄関はぽかりと穴を開け、そこから灰色の煙が漂っている。
壁にはヒビが入り、少しでも触れたら崩れそうだった。
野ばらは溜息混じりに呟いた。



「ったく、誰よ。朝から凛々蝶ちゃんの水着写真見てたのに」

「君は朝から何ていうものを見てたんだ」

「…お腹すいた」



皆それぞれ妖怪の姿へと変化し、戦闘態勢へと変える。
煙の向こうには、何者かの影がある。
凛々蝶は警戒をしながら、恐る恐るその影に一歩、また一歩と近づいていく。
そして、あと一歩といったところで、凛々蝶の動きは止まった。



「凛々蝶様?　どうしまし———」



双熾が心配し、凛々蝶の正面へと移動する。
凛々蝶の前には、細い棒が突きつけられていた。
それが何なのか、理解するのに時間がかかった。
そう、それは銃。ライフル。それを手にして凛々蝶を殺そうとする少女。
双熾の目には、そう映っていた。



「…っ」



凛々蝶の額に、汗が流れる。
ライフルを持つ少女は真剣な表情をして、凛々蝶を睨んでいた。