二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.gray-man -天空の鏡- ( No.4 )
日時: 2012/06/27 19:05
名前: ラン (ID: qs8LIt7f)

          第一夢 -少年少女-



 暗い街。外壁が太陽の光を防ぎ、街には光なんて灯されない。あるのは火だけだった。そんな街に、銀色のコートを来た少年少女が入ってくる。村人は思った。この人なら...我々を救ってくれると。


「ハルナです」
「村長のラウジです。どうかお助け下さい...」
「大丈夫ですよ。必ず貴方方の街に、明かりをともしますから」

 少女ハルナは村長の手を優しく包み込み、微笑んだ。少年カナタはそれを黙って見ていた。

「で?どうする気だよこの壁」
「どうしようか」
「...考えてないのかよ」
「うん」
「ハァ...」

 街から壁の上まで、何百メートルもある。この壁をどうしろというのだろうか。その前に、なぜこんな壁を作る理由があったのだろうか。推理していくにつれ、疑問が増えていく。これではきりがない。

「朝起きたら急に立ってたらしいよ」
「んだよそれ」
「...壁を一通り見てみる?」
「そうするか」

 立っていても謎は解けない。行動あるのみ。宿から出て、壁を一通り見る。

「...この壁壊さないと帰れないしな」
「また上登ればいいじゃん。来たときみたいに」
「お前はバカなのか。そうなのか。あの地獄の苦しみを忘れたか」
「...」

 何百メートルもある壁を、自力で登ってきた二人。もう手足はボロボロだった。

「ねぇ、アソコ。顔みたいな染みがある」
「物騒な事言うなよ...。まぁ確かに顔みたいだけど」
「でしょ?行ってみようよ」
「.........登れと?」
「ごめん」

 近くで見るためには、登るしかない。でも、あの地獄の痛みをまた体験すると思うと、登る気がなくなる。それ程苦しいのだ。

「...?」
「どうした?速く行こうぜ」
「あの染み...動いた気がする」
「お前さっきから物騒な事言うなって!」
「だって...本当だもん」
「ほら、行くぞ」
「あ、待ってよ!」

 あの時。あの染みを見に登っていたら、死者が出ずに済んだのかもしれない。自分達の不注意で、また人が死んだ。エクソシストになって、強くなったと思ったのに。昔と変わらぬ無力だった。
 この日の夜。宿で寝ていると、悲鳴が聞こえた。

「!?」
「今の...村長の!」
「行くぞ!」

 葉と鏡を手にして、声の元へと急ぐ。でも、そこには村長の姿は見当たらなかった。場所を間違えたかと思ったとき、また別の場所から悲鳴が聞こえた。
 場所に着くと、見覚えのある怪物がいた。彼等エクソシストが探し、救済する兵器。

「アクマ...ッ」