二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ♯ そこに込められた、 ( No.6 )
- 日時: 2012/07/09 18:32
- 名前: 香月 ◆uDMe5UGKd6 (ID: xJkvVriN)
「——え、?」
ぽつり、と。
間抜けた声を漏らしたのは、あたしに縋って泣いていた、先輩だった。その目からはいまだに涙が流れ続けている、けれど、ぽかんとしていて、何だかやっぱり間の抜けた顔をしている。
赤司、なんていう赤い髪の女はにこり、と端整な顔に綺麗な綺麗な笑みを浮かべて、冷たい声で、言う。
「だからね、言っただろう? ——私達は青峰が欲しい。ずば抜けたセンスを持つ青峰は君達の所じゃ窮屈なんだよ。名前だけ、じゃなくて、青峰は君達のレベルに合わせてる、そんなことも分からないのかな?」
先輩がきょとんとした顔のまま赤司に視線だけを注いでいる。未だあたしの背中に回された腕が、僅かに震えていた。
「私達の所でこそ青峰は輝ける。そう思うんだ。——ねえ、青峰?」
試すように、じっくりと。
此方を見る赤司の目は飢えた獣の如く爛々と輝き、鋭い眼光を放っている。其れに居竦まれて動けないあたしを察して、先輩が言い放つ。
「夏輝は、——っ」
「……行ったらどうだ?」
先輩の言葉を遮るようにして言葉を発したのは、さつきさんに連れられて渋々という様子で試合観戦に来ていたあたしの兄だ。
突然の発言にその場が静まり返る。さつきさんは呆れかえったのか疲れたように、あーもう、なんて呟いてからにこりと笑みを浮かべて兄の言葉を肯定するようなことを言い始めた。
赤司は満足そうにくす、と笑みを漏らす。
「そいつ、赤司の妹なんだろ? じゃあ信用できるんじゃねェの」
「……征くんの、」
「兄から話は聞いてるんだよね、青峰はとっても可愛いって。それで気になったところ、試合に出ててさあ、——うん、やっぱり欲しいな、君」
「勝手に取ってけ」
「ふふ、お兄さんの許可はもらえたけど、どうかな?」
なーんて、
この二人は酷く面倒くさいコンビだな、と思う。
先輩はすっかり足腰が立たず、涙は枯れ果て、「もういや…」なんて呟いている(ごめんなさい、)。
「転校については私達が色々手配するから安心してくれて構わないよ」
極めつけの赤司の言葉。
助けを求めるように逸らした視線は、誰かとぶつかることはなかった。
/・・
/
赤司の馬鹿ァアァァア!
\
夏輝ちゃん頑張れ、!
無理矢理転校フラグ^q^←