二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 銀魂—白夜叉と黒夜叉— ( No.8 )
日時: 2012/07/13 17:07
名前: ARISA ◆05Q6suVuis (ID: I.8LRP4y)

○3話

晋助に遊びに行ってもいいと言われた凛は、早速江戸の町中にいた。

「うわぁあああああ…………!」

凛は、感嘆の声を漏らす。
周り、どこを見ても人、ヒト、ひと。
とにかく、人がたくさんいる。

実の所、凛は攘夷戦争以来江戸に来るのは初めてだった。
晋助達は何回か来ていたようだが、凛はいつも船の上で留守番だった。
いつも船の上から江戸を眺めているだけ。
凛にはそれだけしかできなかったのだ。
だから、晋助たちが帰ってくると江戸はどんなところか、といつも聞いていた。
晋助は決まって「つまらねぇところだよ」しか言わない。
また子も、万斉も同じようなことしか言わないのだ。
武市変平太(たけち へんぺいた)は、「子供が…………」とかしか言わないため、あまり参考にならない。
そのため、江戸がどんなところかは分からずじまいだったのだ。

「うーん—————。こんなに広くちゃ、銀時見つからないだろうな………。」

凛は、これだけの人の中から銀時を捜すのは無理だと考えた。
だから、

「すみませーーーーん!!銀時って人知りませんかああああああ!!」

人に聞くことにした。と、いうよりこの場合は「聞く」というより「叫ぶ」のほうが正しいかもしれないが。
みんな、凛の方を一斉に見る。
一瞬で注目を集めた凛は、

「え、えっと………」

流石に困っていた。
凛がまだ十代の子供、だと見た人のほうが多く、「何だ、子供か」と呟き歩いて行く人のほうが多い。
みんな去っていってしまうのを見て、

「ちょ、ちょっと!」

と、凛は言うが、見向きする人はもういない。
それを見て、凛は少し悲しくなる。

(江戸の人って、冷たい人たちばっかなのかな…………?)

そんなことを思いながら、裏道へと入る。人気のないところに差し掛かると、後ろから不意に声をかけられた。

「…………お前、万事屋の知り合いか?」

「はい?」

後ろを見ると、男の人が立っていた。
黒い髪で、後ろの人達となにかお揃いの服を着ている。
なんだか目付きが悪く、タバコも吸っている。

(…………ペアルック集団?)

などと、凛は考えながら、彼らを警戒していた。
流石に、黒尽くしの服の人たちが急に話しかけてきて、「万事屋」などと知らない人(?)と知り合いかだなんて聞かれたら、不審に思うだろう。

「……………」

凛は、彼らを睨みつける。
いつでも攻撃できるように刀を抜く準備もできている。

この刀は、晋助からもらったものだ。
戦争終結後に、鬼兵隊についていくことになった時に貰った。
大きさは、凛にとっては少し大きいか、と感じるが、凛は別に不便だなとも思っていない。
むしろ、使いやすいくらいだ。
この刀をもらった時は、本当に喜んだ。
人から始めて物をもらうことがここまでうれしいとは、凛は思わなかったのだ。

昔のことを考えながらも、気を抜かない凛。
目の前の男は、凛の殺気に気付いたのか、雰囲気を変える。

「………知り合いか、って聞いてんだ」

この一言で、凛は刀を抜く。




キィンッッ——————!!





金属のぶつかる音が、響き渡る。
唯一の救いは、ここは人が通ることは殆ど無く、この場所がとても広いことだろうか。
だから、妙な音が聞こえても、人が寄ってこない。


「—————誰かは存じませんが、私は急いでおりますので。
 そこをどいていただけませんか?」


凛はとても丁寧に、その裏には殺気がたっぷりの言葉を相手にぶつける。
しかし、相手も負けてはいない。

「どけっていわれてもな………、急に攻撃仕掛けてきたのはてめぇだろうが!」

そう言って、凛を弾き飛ばす。

(チッッ—————、こいつ………!)

凛は心のなかでそう思いながら、地面に綺麗な形で着地する。

「…………あなた、やりますね!」

そう感嘆の言葉を漏らしながら、凛はまた突っ込んでいく。

(なっ………!こいつ………!)

相手の男はとっさに剣で受け止める。
再び、金属の音が響き渡る。
相手の男は、震えながら凛の攻撃を防ぐ。

(なんだ、こいつの速さと力は!本当に女か!?)

そう思いながら、相手の男はまた凛を弾き飛ばす。
だが凛は、次は着地するのではなく、飛ばされた方向にあった壁を踏み台にし、また飛び込んでいく。

「チィッ———!」

相手の男は流石に受け止められないと判断し、凛の攻撃を受け流す。
避けられた凛は、その勢いのまま地面の方へ飛んでいったが、これも綺麗に着地し、また攻撃をしようとする。
すると、ある乱入者が来た。

「何やってんでさァ、土方さん」

相手の男————、土方と同じ服を着ている茶髪の整った顔立ちの男が話しかけてくる。
土方は、その茶髪男に返事をする。

「総悟か。いや、あの女が急に攻撃してきたから、相手してただけだ」

そう軽々しく言う土方だが、実際は額に汗がついており、かなり苦戦したと、茶髪男———、総悟にはすぐに分かった。

「そうなんですかィ。………って、相手って女って言ってもまだ子供じゃねぇですか」

総悟は少し驚いた顔をする。
だが、それもすぐに戻り、土方と同じように凛に殺気を向ける。

「万事屋に用があんのかって聞いたら、突然切りかかってきたんだよ」

「それは、土方さんの聞き方が悪いんだと思いますぜィ。
 いや、顔も方に問題があんのか?」

「殺されてぇのか、総悟テメェ!!」

何か、コントみたいなのを始めてしまった二人を眺めていた凛だが、ここにいては時間が喰うと思い、立ち去ろうとする。
だが、さすがにバレてしまったらしく………、

「おい、お前。人に斬りかかっといて、謝りもせず去っていくってのはどうなんだよ」

「そうでさぁ、こんな土方にも謝るのは当然のことだろ?」

「こんなってなんだ、こんなって!!」

コントをしながらだが、二人から責められてしまった。
流石にこれは謝ったほうがいいのかと思ったが、凛ははっとする。

(私が謝る必要はないよ!だって急に声をかけてきて意味不明なことを聞くほうが悪いもの!)

そう考えたが、流石に悪かったと思い、凛は彼らの方を向く。

「————先に私に対する変な行動をしてきたのはそちらの方だと思いますが………。
 ですが、私も急に斬りかかった事は、悪いと思っております。
 その件に関しては謝ります。すみませんでした」


少し皮肉も混ぜた感じで凛は言った。
丁寧に謝られたことに何故か戸惑っている二人に謝罪をした凛だが、また顔を上げて次の言葉を言う。

「私も謝りましたので、そちらも謝っていただけると私としても嬉しいのですが………。
 その気はありますでしょうか?」


そう尋ねると、二人は顔を見合わせて、

「いや、俺等なんにも悪い事してねぇし。ですよね、土方さん」

「………まぁ、俺はただ聞いただけだからな。なにか悪いことをした、という覚えはない」


こんな事を言ってきた。
凛は顔が引きつりそうになったが、ぐっと堪える。

(こいつら……………!)

そう思っていたが、土方が「ただ………」と、言ってきた。

「お前が気分を害したっていうんなら、謝る。済まなかったな」

急に謝られて、凛は少し戸惑う。

「………え?」

凛が予想外だという顔をすると、土方はしかめっ面をした顔をして、

「だから、すまねぇって言ってんだよ。お前も、謝れって言ってたじゃねぇか」


………それはその通りなんだが。

凛は少し困った顔をする。
まさか、本当に謝ってくるとは思わなかった、というのが本音だ。

「それで、万事屋のこと捜してたよな、お前」

「………万事屋って誰ですか?」

凛はそう聞き返すと、土方は「はぁ?」と言い、

「お前、捜してたじゃねぇか。『銀時知ってる人いませんか?』ってよ」

「…………あぁ!」

確かに、凛は銀時を捜していた。
土方との戦いで、危うく忘れるところだった。
だが………、

「確かに、渡しは銀時を探していますが、『万事屋』は捜してませんよ?」

そう言うと、土方は少し呆れたような顔をして、

「…………万事屋ってのは、その銀時を指してんだよ」

そうため息混じりに言った。



「…………え?」



凛は信じられないような顔をして、少し間をおいてから、









「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?」









と、叫んだ。

ちなみにこの声は、江戸の町の隅から隅まで聞こえたそうだ。






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はい、今回は、真選組が登場です^^
凛と土方が戦いましたね。凛はとても強い設定ですwww
総悟のちょっとですが登場しました。次はたくさん登場する予定です。

さて、次回は銀さんに会えるかもしれません。
それでは、失礼します。