二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 銀魂—白夜叉と黒夜叉— ( No.9 )
- 日時: 2012/07/14 20:32
- 名前: ARISA ◆05Q6suVuis (ID: I.8LRP4y)
○4話
「すみませんでした!!本当に、マジでです、はい」
凛は、土方と沖田に本気で謝っていた。
「いや、分かってくれたのはいいけどよ………」
土方が、少し呆れたように呟く。
ちなみに、先ほどの場所での立ち話は疲れるだろうという話になって、一行は真選組の屯所にいた。
(この人達真選組の人たちじゃん……!!)
凛も、高須魏から聞いたことしかなかったが、あまり関わるなと言われていた。
真選組とは、江戸の治安を守る特殊警察のこと(しかし、一般の警察のするような仕事をすることもある)。
主な人員は、局長の近藤勲、目の前の土方十四郎、隣の沖田総悟。
この三人を中心に、数十人で形成されている。
全十隊が存在しており、沖田は、その一番隊の隊長だ(ちなみに、土方は副長)。
主な仕事は、攘夷浪士の捕縛や将軍の護衛。
だが、創設者でもある松平片栗虎に便利使いされ、くだらない事柄に駆り出されることもある。
まぁ、そこは置いといて、だ。
(攘夷浪士の捕縛って………!私も攘夷浪士じゃんよ!)
そうだ。凛も、攘夷戦争に参加していた。
つまり、それは真選組から見たら、立派な攘夷浪士だ。
しかも、凛は普通の攘夷浪士ではない。
(どうする………、ここで正直に話すのはあれだ。
でも、嘘を付くって言ってもな……。出身はどこだ、って言われたらそこでアウトだし………)
心中でそんなことを考えていたが、流石に質問を聞き逃して怪しまれるのも疑われる原因の一つだ。
だから凛は、あまり考えないように心がけた。
「それでだな、お前は万事屋のことを捜してたよな?」
「あ、はい。捜してました」
万事屋=銀時。先程言われてから、凛は頭の中にそのことをインプットしていた。
そうしないと、この人達の会話についていけない。
「なんで捜してたんだ?用でもあるのか?」
(そこを突かれるとな………、答えづらいというかなんというか……)
凛は、少し困っていた。
「銀時に会いに来た」と言うと、「そんなに会えないのか」「出身はどこなんだ、そんなに遠いのか」となる。
そうなれば、答えられない。
だから、凛は突っ込まれないような感じで言い訳をした。
「えっと………、ぎ、銀時とは昔の知り合いで。
それで、何か何でも屋らしきものをやっていると聞いたんですよね。
それで、ちょうどいいと思って、依頼しに来たんですよ」
———我ながら、完璧な言い訳だ。
凛は、心中をそう思っていた。
だが、真選組は、そう甘くない。
「依頼しに?その割には、『万事屋』ってもの知らねぇみてぇだな。
それに、以来って何を依頼しに来たんだ?」
(うっ…………!)
そこを聞かれると、流石に辛い。
凛はそう思ったが、攘夷戦争を乗り越えてきた身だ。
そこら辺は、何とか出来るだろう。
「え、えっとですね。あれですよ、私も友達から聞いいただけで、その友だちも名前まではわからないって言ってて………。
それと、依頼っていうのはですね、えっと…………」
そこは、少し困るみたいだ。
でも、なんとか言い訳を作るみたいだ。
「そうです、探しものです!探し物」
「探しものだァ?」
土方は、「なんだそりゃ」とボソリと呟く。
でも、そこはスルーをして凛は続ける。
「実は私、家宝をなくしてしまって…………。
指輪なんですけども、小さいもので…………」
「自分では探せないから、探して欲しい、と」
「はい、その通りです」
土方は「なるほどな」と言い、
「それじゃあ、俺等が万事屋のとこまで連れてくから、ここで少し待ってろ」
「はい、わかりました」
土方はそう言って、部屋から出ていく。
———よっしゃ、なんとか誤魔化せた!
凛は、心のなかでガッツポーズをする。
今ガッツポーズをすると、沖田達に見つかって怪しまれそうだからだ。
(それに、今も見張られてるしね…………)
凛は、気配を感じる天井を見上げる。
あいては、気づかれていないと思っているのだろうが、凛はそういう事に敏感だから、すぐに気が付く。
まぁ、怪しまれることをしなければ良い話だから、凛はあまり気にしなかった。
その気配を感じたという天井裏では、真選組の監察方(密偵)の山崎退がいた。
(やっべー、気づかれたかと思った………)
山崎は、背中に少し冷や汗を書いていることを感じながら、一人で聞かれないような小さな声で呟いた。
山崎は職業柄、あまり人に気付かれないようにしている(ただ単に、地味すぎて人に気付かれないだけだが)。
今も、気配をなるべく消して見張っていた。
山崎は、とても優秀な観察方だ。
だから、気づかれるというのはあまりない。
今も気づかれていない(はずだ)。
だが、今確か標的の少女、凛はこちらを見た。
———やっぱり、気づかれてたのか?俺。
山崎は、少しだけ不安になる。
そんな心配もしていたが、もう過ぎ去ったことだ、と考え、仕事を続けた。
(土方、遅いな………)
凛は、十分位経っても来ない土方に苛ついていた。
部屋を出ていってから、かえってくる気配が全くない。
(私の対策でもとってるのかな?)
凛はそんなことを考えていた。
——そんなことしてんなら、馬鹿だな。そいつらは。
凛はそう思い、小さく笑っていた。
この位なら、見張りに見られても、別に構わないと判断した。
笑うくらい、不審な行動には入らないだろう。
そして、それから五分くらい経った。
計十五分。ようやく土方が来た。
「よう、待たせて悪かったな」
「えぇ、本当に待たされましたよ」
凛は、嫌味たっぷりに笑顔で言うと、立ち上がる。
土方が来る前に、出る準備はもうできていたのだ。
さて、これから以降という時に、土方が「待て」という。
「何ですか?行くんでしょ、早く行きましょうよ」
凛は、早く銀時に会いたい、という気持ちのほうが大きかったので、静止を書けられることに少しイラつく。
(これだから、御役所っていうのは………)
土方は、少しため息混じりに「まぁ待てよ」と言い、続けて
「ちょっと剣を渡してもらってもいいか?」
口調は、なだめるような疑問形だったが、目は違った。
その目は「渡せ」という命令形だ。
凛は、それが少しおかしく、クスッと笑ってしまう。
「………何がおかしい」
「………いえ、なんでもありません。失礼しました」
そうごまかして、凛は土方に剣を渡した。
(一応、対策は取ってきてるんだ。私を警戒してるってことなのかな)
そう思いながら凛は歩き出す。
「さぁ、渡したんですからさっさと行きましょう。私、早く銀時に会いたいですし」
凛はそう言いながら後ろを振り返る。
土方は「あぁ」と言い、歩き始める。
(………何もやらなきゃいいがな。何か、嵐がくるような気がする)
その時は、簡単に片付けてしまった土方だが、その予想は当たることになる。
「ほら、さっさと歩いて!」
「うわ、押すなよテメェ!」
そんなやり取りをしながら、二人と沖田(行く予定ではなかったが、リンのことを警戒した土方が強制して連れて行くことになった)は万事屋へと向かった。
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はい、結局銀さん登場は次になってしまいました。
スミマセン(´・ω・`)
次は銀さん出てくるので、お楽しみに。
それではノシ