二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.145 )
日時: 2012/08/30 18:27
名前: 黎 (ID: 6Bgu9cRk)

—こいつ、やばい…!—
 近づいてくる海馬に萌香はざっと後ずさりした。
「でもさー・・・。」
—なんだ!?—
 キュッと目をつむる萌香。
「やっぱりかわいいな〜。さすが兄さんの愛娘の器だ。…眼の色は違うみたいだけど。」
 あっけらかんとした言葉に萌香はきょとんとしているしかなかった。しかし、そんなことをしている暇はない。
「…誰なんですか?苗字も私と同じ・・・。」
「さっきも言ったよ?白銀海馬って。」
「名前じゃないです!」
 萌香は思わず声を荒げた。
「…仕方ないなあ〜。あまり言いたくなかったんだけど僕は白銀海東ーしろがね かいどうー君のお父さん…かな、の弟さ。2人で科学者をやってるよ。世界を転々してね。」
 海馬の…かな、が気にかかったが今はそれを気にしている場合ではない。
「…父さんも母さんと同じ科学者…!」
 今まで忘れていた父の職業をやっと知った自分に萌香は腹を立てた。
「…でも、父の弟は見たことがありません。」
「そりゃそうさ。仕事忙しくて休みという休みがなかったもん。」
 海馬のケロッとした物言いに萌香は質問がめんどくさくなってきた…。と思いだした。
「単刀直入にいうとさ。僕たちは君を迎えに来たんだよ。萌香ちゃん。」
「え?」
 はっきり言いすぎる海馬の言葉に萌香は素っ頓狂な声をだした。
「君のお父さんがどうしてもってね。今じゃないけど迎えに来たの。準備しといてね。」
 帰り去ろうとする海馬を萌香は呼び止めた。
「ちょっと待ってください!いきなり言われても困ります!それに母さんだって…!」
「…僕たちは君やお母さんの意見を呑み込もうとは思ってないさ。」
 急に海馬の言葉が冷たくなった。
「これは取り戻すための強制帰郷だからね。器の君の言葉なんて必要ないのさ。」
「器って…どういうことだ!」
「…最近夢を見るだろう?」
—なんで…何で知っている!?—
「それは夢じゃない。過去に起こった本当の話さ。今まで君に施されてあったプログラムが10年たった今、プログラムがうすれてるんだ。」
「なんだよそれ・・・ッ!」
 萌香はじりっと海馬に近づく。
「おおっと。これ以上の話はタブーだね。…この辺でサヨナラするよ。それに、お友達もよんでるよ?」
 ハッと萌香が後ろを振り向くと桃井がドリンクを持って萌香に手をふっていた。
 海馬のフインキがふわふわしたものに戻った。
「じゃあね〜。絶対迎えにいくから。あ、それと、君の幼馴染の赤司征十郎君だっけ?あの子はうそつきだからね〜。」
「なんでそこで征十郎が!?」
「こっちに来ればわかるよ。…後、このことを他人に言ったらソイツ、死んじゃうかもよー。…僕ら、ただの科学者じゃないんだよね。」
 最後の言葉だけ、海馬の眼光が鋭くなった。
「なんだよそれ・・・ッ!」
「バイバーイ♪」
 海馬は笑顔で消えて行った。
 萌香は拳を強く握って、海馬が消えたところをにらみつけていた。