二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.199 )
日時: 2012/09/07 12:19
名前: 黎 (ID: 6Bgu9cRk)

「海東さん、あかりさん。資料出来上がったので目を通しといてください。」
「わかった。」
「はーい。」
 ばたばたと機械の騒がしい音が研究室に響く。
 ピクニックの次の日、海東とあかりは仕事に戻っていた。
 海東は部下から資料を受け取ると、近くにあったコーヒーを飲んだ。
「ふう…。今日も残業になりそうだ・・・。」
「ハードワークはいつものことでしょ?」
「そうだな。」
 あかりの言葉に海東は苦笑いをした。
「海馬オジサンパパとママどこぉ?」
 2人は見慣れた姿と声が聞こえたような気がして、キョロキョロと辺りを見渡す。
「ここだよ。琉香。ばれないようにね〜。君のいじわるでケチなパパがおこっちゃうからー。」
 パッと海東は海馬と琉香の姿を発見した。
 いたところは、海東やあかりのいる研究室を見下ろせる窓のある部屋だった。
「パパケチなの〜?」
「ケチどころじゃないよ。鬼鬼。チョー大魔王。」
 そう言って海馬は頭の上に人差し指を立てて鬼の角を作る。
 海東の言いたいことはただ1つ。


 聞こえてるッつの。


 琉香の前ではなかなか怒鳴れないため、ギリリと歯を食いしばり、怒り顔で握り拳を作っていた。
 そんな夫をあかりは苦笑いで見る。
 そして思った。
 海馬よ。速く逃げろ。
 ・・・と。
「おやおや?こんなところに海馬君の鉄球が。届けなく・・・ッちゃなッ!」
 と、海東はわざとらしく鉄球を上の窓で鬼のマネをしている海馬に思いきり投げつけた。
 そしてがっしゃーんッ!と、窓の割れる音が聞こえ、海馬にジャストアタックした。
「ってええええええええええええええええええっ!!!」
「海馬オジサン!?」
 頭を押さえながら倒れこむ海馬に近寄る琉香。
「おーい。海馬くーん。仕事ほっといて何うちの子と戯れてるのかなあ…?」
 海東は笑顔だったが目は笑っていなかった。
「い、いや…琉香がどうしても2人の様子見たいっていうからつい…!」
「そうだよパパ!あたしパパとママにあいたかったの!」
 愛娘の言葉に海東はこれ以上批判することはできなかった。
「…琉香。勝手に物をいじるなよ。危ないからな。」
「うんッ!」
 琉香は笑顔で返事をした。
「よかったわね。琉香。」
「よかった!」
「それはそうと…海馬ぁ…。何仕事サボってんだよ・・・。」
「いやぁ…。琉香のこともあったしついね・・・。」
 海馬は頭をかく。
「琉香を理由にすんなボケーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
「ぎゃあああーーーーーーーーッ!申し訳ございません—ーーーッ!アクの大魔王様—ーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
「反省しとんのかお前は—ーーーーーーーーーーーーーッ!!」
 海東は海馬の胸倉をブンブン振る。
 ギャーギャー騒がしくなったとき、部下が青ざめた顔で海東とあかりと海馬に近寄る。
「海東さん!大変です!」
「どうした?」
 騒ぎとピタッと止める。
「実験の誤差で…1号室の部屋に毒が回ってるらしくて…!」
「なんだと!?」
 海馬はキョロキョロと辺りを見渡す。
「あれ?兄さん。あかりさん。琉香は?」
「え?ここに・・・。」
 あかりはあたりを見渡す。
 けれど、琉香はいなかった。
「琉香!?どこ!?」
「まさか…!?」
 海東は酸素マスクをつけると、どこかへ走って行った。
「あなた?!」
「ちょ・・兄さん!」
 海馬とあかりの声も届かず、海東の背中は小さくなっていった。