二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.23 )
日時: 2012/07/27 16:53
名前: 黎 (ID: N7iL3p2q)

 現在、第三クオーター中盤。
 点は67−64。
 萌香たちの学校が勝っている。


 キュッ!キュッ!
 シューズの音が総合体育館に響く。
「よしっ!このままいけば…!」
 仲間からパスを受け取った吉美はドリブルで進もうとする。
「美羽〜。もういいんじゃね?」
 吉美にマークについた奈波小の1人は美羽に呼びかけた。
「もうっ…。あわてんぼうさんなんだから・・・。いいよお。」
 美羽はにっこり笑いながら何かの許可を承諾した。
「何のこと…?」
 吉美が警戒する。
「別にぃ。こうするだ…ッけ!」
「!?」
 奈波小の1人がファウルすれすれのタックルで吉美を吹き飛ばした。
「吉美ちゃん!」
 タックルされた吉美はしりもちをついてしまった。そのせいでボールは相手チームの手の中に。
「ディフェンス!守って!」
 菜々は吉美にかけよりたい気持ちをおさえて、仲間に指示を出した。
 菜々もディフェンスに加わろうとする。だが・・・。
「あんたも…邪魔ッ!」
「うっ!」
 菜々も奈波小の1人によるラフプレーによって、お腹をひじ打ちされてしまった。
「審判!今のどう見てもファウルですよ!」
 萌香が審判に抗議する。しかし。
「今のはファウルじゃないよ。たまたま、お腹にあたってしまったんだよ。そういうケースはよくあるよ。」
「ごめんなさーい。」
 審判の声が聞こえていたのか奈波小の1人は舌を出してえへへと笑う。
「…審判の死角を狙ったの…?!」
 それがわかり、萌香は仕方なくコートに戻った。すると。
「ダメですよお。審判さんを疑っちゃあ・・・。」
 いつの間にか美羽が萌香の近くにいて、微笑していた。
「…あんたッ!」
「やめな!萌香!」
 けんか腰になっている萌香を止めたのは吉美だった。
「私と菜々は大丈夫だから…あんたも戻りな…!」
「吉美…。菜々・・・。」
 2人は萌香にうなずく。
「わかった・・・。ごめんね。」
 萌香は自分の持ち場に戻って行った。
 ビーーーーーーーーーーーー!!
『第3クオーター終了です。』




「萌香・・・。」
 赤司はギャラリー席で萌香を見守っていた。
「勝てよ…!」
 途中で曇り顔だった萌香の顔が明るくなったのを赤司は見ると、
「…このオレが見てきてやってるんだから。」
 フッと赤司は微笑んだ。











 萌香は気持ちを切り替え、ガンガン点を取って行った。
 77−78だ。
 1点まけている。
「守りはもういいから!攻めてえ!」
 菜々の悲鳴に近い掛け声が響き渡る。
「…萌香ッ!」
 吉美から萌香へパスがきた。
「よしっ!」
 バシッとボールを受け取ると、敵陣ゴールに迫る。
「くッ!やっぱり止められない…!」
 4クオーターになってもいまだ衰えない萌香の速さに奈波小メンバーは追いつけなかった。
「…生意気ね。」
 美羽は冷たい顔でつぶやくと、萌香が向かうゴールへと歩いて行った。
「これでっ!最後だあッ!」
 


 ガツゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
 萌香はダンクを決め込んだ。
 79−78。
 逆転勝利・・。のはずだった。
 フワッとゴールから降りようとすると、萌香の着地地点に美羽がいた。
「きゃあああああ〜〜〜〜!!」
 美羽がわざとらしい悲鳴をあげる。
 だが、心なしか笑っている。
(この子…!自分の身を犠牲にしてここまで…!)
「ッ!」
 グルンと萌香は身を反転し、位置をずらした。
 が。
「うわ…あ・・!!」
 急に反転させたせいで体のバランスをずらし、頭から落ちるという体制になってしまった。
 萌香の着地地点は柔らかいものは何もない、硬いコートが待ち構えていた。
 萌香は成すすべもなくヒュウウと落ちるのみ。
「「萌香ああああああああああああ!!!」」
 赤司と吉美の声が重なった。


 残り、1分。