二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.247 )
日時: 2012/09/15 18:34
名前: 黎 (ID: 6Bgu9cRk)

「…ピンク髪や金髪ピアスを襲っといて何をいまさら…。そんな甘言通じると思ってか?」
「事実だよ。そして現に僕は記憶ソフトを水色君に渡してる。」
「…!」
 海馬の淡々とした物言いに水晶は口を閉ざす。
「これですね?」
 黒子は動きにくい体制でポケットからソフトを取り出した。
「そー。貸して。」
「はい。」
 黒子は海馬にチップを渡す。
「バカやろ・・・・ッ!」
 水晶は黒子を一喝する。
 海馬はソフトをうけとると、
「…君は知ってたんだよね?」
「・・・・さあ、どうでしょう。」
 海馬は赤司を一瞥する。
「え?え?」
 いまだ状況をうまく飲み込めない桃井は困惑していた。
「・・・・・・・。」
 青峰までも何か理解しているようだ。
 そのことに桃井はショックを受けた。
「僕が実験にきょーみないってことはあ・・・。」
 海馬は笑顔でヒュッとソフトを宙に投げる。
 そして。
「こうしちゃうよ♪」
 素早く取り出した銃でパアンッとソフトを打ち抜いた。
 しかも、見ないで。
「・・・え?あなたは敵じゃないの?」
 桃井がまた困惑する。
「敵だよ。でも、このことにはきょーみないんだ。」
「…どうしてですか?」
 黒子は恐る恐る聞く。
「んー?なんでだろうね。理由があったとしても教える義務もないし、義理もないだろーよ。」
 海馬はぶちぶちと鎖をちぎっていく。
「…萌香…ですか?」
 赤司はポツン、と言葉を吐いた。
 海馬はさみしげな眼で赤司に、
「…やっぱり、君みたいな賢すぎるクソガキは大っ嫌いだよ。…吐き気がする。」
 と、皮肉気につぶやいた。
「それに、君は天性のうそつきだしね。だから萌香が近寄らない理由の1つだ。」
 海馬の付け加えた言葉がしゃべり終わった時には、もうみんなの鎖はほどけていた。
「…行って来いよ。そして、こんな興味のくそもないつまんねー実験を終わらせて来いよ。…もう、こんな実態実験は10年前、白銀琉香の死って形で終わってんだから。」
 海馬は扉の鍵を開けた。
「…お前、いったい・・・。」
 水晶は海馬をふしぎな目で睨み付ける。
「ただの科学者。」
 海馬は背を向けながら言った。
「・・・そうか。」
 そう言ってみんなは扉から走り出した。






「・・・・・・・・なんてね。僕らしくもない理由だからなあ。萌香ちゃんに救われたからってこんな兄さんの願望を壊すようなことしたの。」
 海馬は目をつむりながら腕を組んだ。


——僕はなんなために生きてんのかわかんないよ。いいなあ。少女。—
—ー私だってわからない。けど、お兄さんは、科学者?なんだから人に役立つことができるじゃないか。——
 彼女とは、公園で出会った。
 まだ、その時は白銀海馬ということも、白銀萌香ということも知らなかったとき。
 その幼い言葉で僕はどれだけ救われたのだろう。



「…君は覚えてるはずもないか・・・。」
 君は、もうこんなこと覚えてないだろうね。