二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.278 )
日時: 2012/09/22 06:18
名前: 黎 (ID: 6Bgu9cRk)

「・・・というとでも思ったかッ!」
 水晶はそういって近くにあった消火器をバットで砕くと、白い煙がフロアを包んだ。
「おい貴様ら!ここから出るぞッ!」
「はあ!?あんなかっこいいこと言っといて逃げんのかよおッ!?」
「阿呆ッ!さっきの銃弾でバットに穴空いたんだぞ!?このまま戦えるかッ!」
「…とりあえずここから出ましょう。」
 言い争う青峰と水晶を黒子がいさめる。
「萌香!もうちょっとだからね!」
「…ああッ!」
 桃井が萌香をはげます。
「…いっただろっ!!ここからタダで帰れると思うなよッ!?特に萌香!お前だけは…始末してやるゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
 海東が怒りを込めて叫んだ。
「…完璧怒ってますね。」
「あのバカ親父は何もかも思い通りにいかないと切れるからな。」
「それより出口どこぉッ!?」
 桃井がそれどころじゃない、と言わんばかりに叫ぶ。
「…父さん。」
 萌香はボソッとつぶやいた。
 その時、びーっと警報が鳴った。
『第3室のフロアに異常発生。ただいま火事です。近寄らないでください。』
 その警報を聞いた瞬間、海東の顔は殺意から焦った表情に変わり、今まで赤司達を追いかけていたのに、なぜかUターンした。
「…海東さん…?」
 赤司は後ろを向きながら海東を見送った。
「…出口だ!」
 水晶の言葉にみんな視線を前に移した。
「よしっ!」
 そして、みんなは光のある出口へ到達した。
「ふう・・・やっとか。」
「あんときおっぱ、いや、水晶がたたかってたらかっこよかったのにな。」
「今の青峰君かっこ悪いよ。」
「とりあえずみんな無事でよかったです。」
「萌香どうした?」
 みんなは無事だった事実をうれしがっていたが、萌香は廃工場のほうをじっと見ていた。
「…ごめんみんな。ちょっと忘れ物しちゃった!行ってくる!」
 と、言って萌香は駆け出して行った。
「愚妹ッ!?待て、今火事が・・!」
 追いかけようとした水晶だが、がれきによってそれは封鎖された。
「萌香—————ッ!」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・あった。」
 第3フロアに戻った海東が捜していたものは、過去のアルバム。
「…ちょうどいい。どうせもう萌香は琉香にはなれない。だったらこの火事でいっそ・・・。」
 海東はアルバムを胸に抱いたまま目を閉じる。
「・・さん。」
「父さんッ!!」
 来ないはずの萌香の声が響く。
「…なんっで、お前がここに・・・ッ!」
 海東は驚きを隠せない。
「…さらわれる途中、ここでアルバム見たから、もしかしてここにいるんじゃないかって・・・。」
 海東は目を見開いたまま黙っている。
「・・・一緒に帰ろう。」
 海東にとって地獄より苦しい言葉が海東の耳を包んだ。