二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.307 )
- 日時: 2012/09/29 18:50
- 名前: 黎 (ID: 6Bgu9cRk)
結局、あのまま青峰は部活には来なかった。
そして、青峰がいないまま部活は終わってしまった。
「ほんとどうしたんだろ・・・。」
「きっと食べすぎでお腹でも壊しちゃったのよ!気にすることないわ!萌香!」
桃井はそういっててきぱきとタオルを片付けていく。
「レギュラー全員集まれ!」
赤司の号令により、レギュラー全員は体育館の中央に立っている赤司のもとへ駆け寄る。
「今から5日後…。つまり土曜日だな。まただが試合をやる。…桃井。いない青峰にも伝えといてくれ。」
「う、うん!」
「話はそれだけだ。」
赤司が言い終わるとみんなは蜘蛛の子のように立ち去って行く。
萌香は青峰のことが気がかりで、その場からボーっとして動けなかった。
そして、ふと、体育館の入り口をみた。
「ン…?」
萌香が見た光景は、だるそうに横切る青峰の姿。
(大輝…?)
ダッと萌香は考えるよりも、体が勝手に青峰のほうへと走って行く。
「大輝!」
「萌香…?」
大声で追いかける萌香に青峰はちょっと驚いたように振り向いた。
「なんで・・・。」
「なんではこっちだ!何で今日部活来なかったんだ!?」
「だから具合が悪くて・・・。」
「具合が悪かったらもうここにはいないだろ!?」
睨み付けるように青峰を見上げる萌香に青峰は降参と言わんばかりに頭をかいた。
「…最近バスケがつまんねーんだよ。」
「・・・え?」
「俺にかなうやつがいない。…って思うようになっちまった。練習するたびにおれは・・・。」
そこで、青峰は萌香から視線を逸らした。
「…涼太や真太郎じゃだめなのか?」
「…あいつらはチームメイトだろ。ライバルかもしれねーけど、ライバルにはなれねえよ。」
「けど・・・」
「おまえだってわかんだろ。」
萌香の言葉を遮るように青峰は言った。
「…俺、このままバスケ練習してうまくなって、試合しても、ライバル…いや、それ以前に俺と対峙した時にも的は勝負することあきらめてる。…このままだと、おれはきっとバスケのことが嫌いになる。」
「大輝…!」
「もう、ほっといてくれ・・・!」
青峰は泣き出しそうに、絞り出すような、そして、今にも泣きだしそうな声を出した。
「たぶん・・・ほっといたら・・・なんとかなるからよ・・・。」
青峰は悲しそうに笑うと、萌香に背を向けて歩き出した。
「ほっといても・・・なんとかならないよ・・・ッ!」
萌香はギュッと自分の拳を握りしめた。
そして、さびしそうに歩く青峰の背中を萌香はずっと見つめていた。