二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.31 )
- 日時: 2012/07/30 14:40
- 名前: 黎 (ID: lBubOowT)
「あの…。佐々木菜々さんのお見舞いに来たんですが、菜々さんの病室ってどこにありますか?」
萌香はちょうど受付の看護婦に菜々の病室を聞く。
「ああ、佐々木さんね。えーと。確か327号室よ。3階のね。」
と、快く教えてくれた。
「ありがとうございますッ!」
萌香は足取り軽く走って行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
チーン、と萌香はエレベーターから降りると、327号室を発見した。
「・・・あそこだな。」
萌香はふーっと深呼吸をすると、327号室に近寄り、ドアをノックした。
コンコン、とノックすると鈴のような声で『どうぞ。』と返事をされた。
「な、菜々・…?」
萌香は恐る恐るドアを開ける。
「萌香ちゃん!どうしたの?!」
ぱあっと菜々は笑顔で萌香に話しかける。
「お、お見舞いに・・来たんだ…。吉美が今日菜々が目覚ましたってきいたから・・・。」
「もお〜!みんな大げさに話すんだから〜!」
菜々は笑いながら手をブンブン否定するように振った。
「あ。立ってるのもなんだし、座ってよ。私萌香ちゃんが来るまでずっと暇だったんだから〜。」
と、椅子を軽くたたく。
「あ、うん。」
促されるように萌香も座る。
「あのさ・・・」
「うん?」
萌香はキュッと手を握った。
「頭…大丈夫なのか…?私のせいで・・・。」
菜々は自分の頭に巻かれている包帯をさわった。
「ああこれ。うん。大丈夫よ。気にしないでよ!」
と、菜々は茶化すように笑った。
萌香は思わず身を乗り出し、
「でもあそこで私がヘマをしなかったら菜々はこんな大怪我しなかったのに…!」
涙目になる萌香を菜々はそっとなでた。
「謝らないで?萌香ちゃん。あれは私が勝手にやったことだし、けがをしたのだって私が不甲斐無いせいなのよ。だから…泣かないで?」
いつの間にか萌香の頬にツウッと涙が伝っていた。
「あ・・・。」
萌香は服の袖で頬をぬぐう。
「せっかくが美人さん無駄になっちゃうよ。…それッ!」
「い・・痛いッ!」
萌香の両方の頬は菜々によって引っ張られていた。
「私をしんみりさせるためにここに来たの?やめてよね〜!」
菜々はあははと笑いながら萌香の頬をつねる。
「ご、ごめんてばあっ!もうしんみりしないよ!」
「うん。ならばよしっ!」
ニョンと菜々は萌香の頬はパッと放した。
「ひー。いたかった・・・。」
萌香は頬をさする。
「また…いつか一緒にバスケやろうね!」
と菜々は萌香に拳を突き出した。
「ああ!」
トン…と萌香は菜々の拳に自分の拳をくっつけた。
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そのあと、看護婦がやってきて、検査の時間だというので、萌香と菜々は別れていた。
萌香は帰り道、公園のベンチに座り、ジュースを飲んでいた。
「そういえば…。菜々にいつ退院するかきいてなかったな・・・。」
と、ジュースを一気飲みする。
『またいつか一緒にバスケやろうね!』
菜々のあの言葉が妙に心の奥に引っかかっていた。
「またいつか…?」
嫌な予感がする。
「・・・そんなわけないよなぁ・・・。」
カンっと萌香はごみ箱に空き缶を投げ入れた。
「よっし!明日こそはバスケ楽しむぞ—ーーー!!」
萌香は勢いよく走って行った。
これからの闇に入るように。