二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.320 )
日時: 2012/10/01 19:06
名前: 黎 (ID: 6Bgu9cRk)

「…すごい!すごいよ青峰君!今日すごく調子いいよ!」
「・・・うん。」
 今は試合中。桃井は萌香の肩をがくがくさせるはど、青峰の得点の奪取はすごかった。
(良すぎる気も…する。)
 ちらっと萌香は黒子を見る。
 黒子は少し微笑んでいた。これを見て萌香は黒子が何か言ったんだな、と悟った。
 そして、全国屈指のF、井上と青峰は1on1になった。
 ・・・が。
「え…・・・・・・・・・・・・?」
 ダムッ。青峰のドリブルした音だけが響く。
 井上は何もしなかった。
 青峰もこのことは予想できなかったみたいであっけにとられている。
 そして、このままシュートを決めた。
「確かに…この点数じゃ、モチベーションを保つのは難しい…が。」
 点数を見て緑間はつぶやいた。
「青峰君。」
「…わりいテツ。・・・おまえがいったことはきっと正しいと思う。けど・・・。」
 黒子は青峰に近寄り、拳を合わせようとした。
 その瞬間、黒子に言った言葉だったかもしれないが、萌香にも突き刺さるように聞こえてしまった。
「オレに勝てるのオレだけだ。」
 黒子の拳を無視し、青峰はそのまま立ち去って行った。
 黒子は茫然としていた。まるで、目の前にガラスケースが立ちふさがっているように。
「大輝・・・。」
 萌香はキュッとペンを握りしめた。
 そして、試合は圧倒的な差で幕を閉じた。







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「やっぱり青峰っちのように圧倒的な個人技っていいッスよね!」
「まあ、楽だけどね〜。」
「…まあな。最近俺もそっちのほうがよくなってきたのだよ。」
 試合が終わり着替え終わった黄瀬、紫原、緑間は口ぐちにそういった。
 青峰はもう帰ってしまった。
 黒子は黙って彼らの話を聞いている。
「バスケはチームプレイが大切だろ!?」
 萌香はその言葉に耐えきれなくなり、叫んだ。
「ど、どうしたんスか?萌香っち!!」
「おまえらしくないぞ。萌香。」
「だって・・・ッ!」
 萌香が言葉を紡ぎだそうとすると、冷たい声で紫原は言った。
「…ごめん萌香ちん。選手でもないのにそんなこと言わないでくれる?…赤ちんも言ってた。勝つことはすべてだって。」
「・・・うそだ・・・ッ!」
 ダッと萌香は駆け出した。
「萌香さん!!」
 黒子の声が聞こえたが、萌香はそれどころではなかった。
 あまり遠くないところに赤司はいた。
「征十郎!!」
「なんだ萌香?」
 はあ、はあ、と息を整えながら萌香は言った。
「…勝つことはすべてだってホントなの?」
「・・・ああ。」
「勝つためなら、チームプレイはどうでもいいの!?」
「…それが、帝光中の勝利につながるのなら。」
「・・・・ッ!?」
 萌香は絶句した。
 赤司がこんなことを言うだなんて信じたくなかった。
「どうして・・・ッ!?」
「…ずっと前に思ってたことだ萌香。」
 すっと手を差し伸べる赤司は手を萌香は思い切りはじいた。
「・・・そんな征十郎大っ嫌いだっ!!」
 一滴の涙をこぼすと萌香はそのまま走り去った。
 その涙は赤司に見えたかどうかはわからない。





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「どうして…なんでだよお・・・・ッ!」
 萌香は泣きながら走ると、公園のベンチに座り込んだ。
 そして、静かに泣いていた。
「…萌香さん。…となりいいですか?」
「テツヤ…?」
 萌香は涙目で見上げると、黒子がハンカチを持って立っていた。