二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.348 )
日時: 2012/10/05 19:43
名前: 黎 (ID: 6Bgu9cRk)

 そして、めぐりめぐって3月、卒業式になった。
『卒業生代表赤司征十郎。』
「はい。」
 赤司は体育館の中央に引かれたレッドカーペットの上を歩き、ステージでスピーチをした。
 だが、そんな赤司も萌香にとっては悲しい思い出そのものだった。
(…これで、お別れか。)
 合格発表は明日。
 赤司は受験に失敗するところだなんて想像できないし、萌香も洛山に行かないために必死で勉強した。
 それに、幼馴染であろうと、洛山は京都。なかなか会えるものではない。
(・・・どこで、こんな間違いが引き起こったんだろう。)
 萌香は目の前にいる人物を拒絶するように目を閉じた。








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 卒業式が終わり、みんな笑ったり、泣いたりしていた。
(…私は、悲しいのだろうか。)
 萌香はそんなことを思っていた。
 すると、その思いは桃井の声によって遮断させられた。
「萌香—ーーーーーーッ!」
「?」
「高校、どこ行くの?」
「・・・誠凛だ。」
 桃井はそっか、と悲しそうに言った。
「さつきは、大輝と同じとこに行くんだな。」
「…うん。ホントはテツ君と同じ高校に行きたかったんだけどね。あいつ、ほっとくと何しでかすかわかんないからさ・・・。」
 萌香はそうだな、といった。
「萌香は赤司君のところに行かなかったの?」
「…行きたくなかった。それだけだよ。」
「萌香・・・。」
「…さつきたちは私みたいにならないでくれ。」
 萌香は自嘲気味に笑った。
 もしかしたら、一生分かり合えないかもしれない。
「…また、会おうね!じゃあね!」
 桃井はそういうと、タッと走って行った。
「…いつか…ね…。」
 萌香は桃井と別方向の道を歩き出した。








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 サアッ・・・。
 サクラの木の下で萌香は立っていた。
 後、もう少しで、帝光中ともおさらばだ、と思うとなんだか名残惜しくなった。
 すると、赤司が萌香のほうに向かって歩いていた。
 いつもの萌香なら、おびえたような顔だっただろう。
 だが、今の萌香は悲しそうに微笑んでいただけだった。
 スッと赤司と萌香が通り過ぎる。
 通り際に、赤司は萌香に言った。


「おまえを必ずこっちに連れて行く。」


 宣言するように言った。
 萌香の横を通り過ぎてから、萌香は、
                   
「…無理、だな。・・・征十郎・・・いや、赤司。お前が変わらない限り。」


 そう言って萌香はツウッと一筋を涙を流した。

 赤司。ありがとう。ずっと、大好きだった。

 けど、今は大嫌いだ。

 もう、会いたくない。

 ごめんな。もう、お前は変わってはくれないだろう?






—————第一部 完—————