二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.35 )
- 日時: 2012/08/01 14:30
- 名前: 黎 (ID: jX/c7tjl)
「菜々ァ!しっかりして!」
「いやぁああああ!菜々ちゃん!!」
吉美や他のメンバーが集中治療室で管だらけになっている菜々に悲鳴を上げる。
最後にやってきた萌香は、
「菜々…!!」
と、茫然とするしかなかった。
—私のせいだー
萌香はギュウっと自分の拳を握りしめた。
「萌香ッ!」
吉美は萌香に気付き、近寄った。
「菜々の脳内に予想以上のダメージが残ってるって…!」
いつもは気丈な吉美も今回は泣きそうだった。
「吉美…。私は・・・。」
顔面蒼白になっている萌香に追い打ちをかけるように、ほかのメンバーが萌香にむかって、
「アンタのせいよッ!!」
と、目に涙を浮かべて叫んだ。
「やめなッ!誰のせいでもないッ!」
吉美は悲しみをこらえるように叫ぶ。
ーアンタにせいよ!ー
その言葉は萌香にとって大ダメージだった。
「…吉美。もういいんだ。菜々がこうなったのは全部私のせいだ・・・。」
「違うッ!」
吉美はぽろっと泣き出した。
「みんなが言ってることと思ってることは事実だからさ・・・。」
萌香は自嘲気味に笑った。
「本当は気づいているんだろう?吉美・・・。」
「ちがっ…。萌香…。違うの…!」
私は最低だ。
私をかばってくれる友達に対してこんなことを言うだなんて。
最低で最悪だ。
「菜々を傷つけたのは中村美羽でも奈波小の人達でもない。この私だ・・・。」
萌香はギュッと自分の肩を抱きしめた。
「萌香!?今アンタおかしいよ!?ねえ、どうしたの!?」
吉美は萌香の肩を揺さぶる。
「ごめん…。ごめんなさい…!みんな…!」
萌香は全力で走って行った。
「萌香あああああああああああああ!!」
吉美の悲痛の叫びが病院内をこだまする。
「はあ…!はあ…!」
萌香は病院の入り口に立ち止っていた。
がしっと萌香の腕が掴まれた。
「萌香。お前なにしてる。」
「征ちゃん…!?」
振り向くと赤司が起こったような顔で萌香を見据えていた。
「関係ない。」
萌香はそっぽを向くと、グインと赤司に体の位置を戻された。
「関係ある、…お前、逃げる気か?」
「逃げてないッ!」
萌香はバッと赤司の手を振り払う。
「じゃあなんでこんなところにいる?」
「それは…!」
言葉が出なかった。
「さしずめ、死にそうな佐々木を見るに堪えなかったんだろ?」
赤司がドラマでも見ているような口調で話す。
「違うッ!」
「ちがわないな。」
間髪入れずに赤司は反論した。
「じゃなかったらこんなところにはいない。」
冷たい赤司の口調に萌香は、
「…征ちゃんにはわかるはずないッ!私のせいでみんな苦しんでるのにッ・・・!」
「『私のせい』?誰がそんなこと言った。勘違いも甚だしいな。」
赤司の心無い言葉に萌香の何かがきれていた。
「・・・らい・・。」
「なんだ。」
「征ちゃんなんて大っ嫌い!!」
ドン!と赤司を押しのけ、萌香はもっと早く走っていく。
「・・・・・・・・。」
赤司は何か言いたげな顔で小さくなる萌香の背中を見つめていた。
「もう…いやだ…!」
萌香はボロボロは涙を流しながら走る。
「死んでしまいたい…!」
頼れるものは、いなくなった。