二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ ー白銀の女神ー ( No.37 )
- 日時: 2012/08/03 15:22
- 名前: 黎 (ID: jX/c7tjl)
「え?いない?」
現在午後6時。部活から帰って、萌香の家に寄ってみた誰様俺様赤司様は唐突の声をあげた。
「そうなのよ〜。まったくあのこったら、こんな時間までどこほっつき歩いてんだか・・・。」
萌香の母はハア・・。とため息をつく。
「…俺探してみます。どこに行ったか見当は付きますか?」
赤司はじっと萌香母を見据える。
「うーん。吉美ちゃんがサッサと萌香を連れてってしまったから…。あ。そうだ。征十郎君。」
「なんですか?」
「…最近萌香、部活にいってないみたいなのよ。それに元気もないし。何かあったか知らない?」
「・・・いえ。わかりません。」
本当は知っていたが、そのことを話すと萌香母は何をしでかすかわからないので一応伏せておくことにした。
「…それでは。失礼しました。」
赤司は薄暗い夕暮れの中、走って行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃萌香は、病院の中庭の3段しかない階段に膝を抱えてうずくまっていた。
「ッ……!!」
ひざを抱えながら萌香はこれまでの悪夢を思い出していた。
——いやぁああああ!菜々ちゃん!——
—ーアンタのせいよ!ーー
—ー今アンタおかしいよ!?ーー
次第に頭が痛くなり、頭を抑え込んだ。
「ごめんなさい…!ごめんなさい…!!」
私がすべて壊してしまったんだ。
ギュッと目をつぶった瞬間。
「萌香。」
優しい声で抱きしめられた。
「だ…れ…?」
萌香はそっと振り向いた。
「おばさん、心配してたぞ。」
「征・・・ちゃん・・・。」
抱きしめたのは赤司だった。しかし、萌香は4日前、赤司に「大嫌い」と言ってしまったことを思うと抱きしめている手を振りほどくことしかできなかった。
再び、ひざを抱え込んで涙をみせぬよう頭を伏せた。
「…1人にして。」
「断る。」
「あっちにいってくれ・・・。」
「いやだ。」
「あんなひどいこといったのにか…?」
「なんのことだかさっぱりだな。」
動く気まったく0の赤司に萌香はますます目に涙を浮かべていく。
「お願いだから・・・。」
キュッと涙に耐えるように自分の服を握りしめた。
「もういいから。」
赤司はそっとまた、萌香を抱きしめる。
少しずつ、萌香の体が震えていった。
「いいから。」
萌香に言い聞かせるように赤司はもう一回言った。
「…私、バスケ怖くなっちゃった。バスケットボールに触るたび、菜々のバスケ人生を奪ったことや、チームメイトにボールを当ててしまったことを思い出してしまって…怖いんだ。もう…。ボールを見たくなくなるぐらいに・・・。」
最後は涙声になってしまい、それからあとの言葉が出なかった。
萌香は泣きながらバッと赤司のほうを向いた。
「どうしよう…!征ちゃん…!私、もうバスケもうできないよ…!」
赤司はガッと萌香の肩をつかんだ。
「じゃあ。俺が。俺が萌香がちゃんとバスケできるようになるまで代わりにバスケでいっぱい勝ってやるから…!だから…もうできないだなんて言わないでくれ…!」
いつもは余裕さえ感じられる赤司がこんな風に必死になるのを見たのは、萌香にとって初めてだった。
「征・・・ちゃん・・。」
萌香は何も言えなかった。