二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: NARUTO─木の葉忍伝 ( No.12 )
日時: 2012/07/17 20:19
名前: 近衛竜馬 (ID: AzSkpKat)

ナルト達がクラス替えしてから、あっという間に時間が過ぎ、現在ナルトは十三歳。楽しかったアカデミー生活も終りを迎え、いよいよ今日が卒業試験だ。この試験を合格するか否かで、子供達の来年が決まる。合格すれば晴れて下忍としての入口に立つ事が出来、不合格ならまた一年、アカデミーで勉強のやり直し。とは言っても試験の内容は至極簡単なもので、分身系統の術を成功させるか、させないか、というものだ。
「分身の術!」
サスケは、八人程に分身すると、どうだ、と言わんばかりに笑みを浮かべた。試験官のイルカとミズキも、まさか八人に分身するとは思っていなかったので、驚きの表情を浮かべている。結果は、言うまでも無く合格だ。
「次!波風ナルト!」
イルカの声に反応して、ナルトが得意げに前へと出る。
「影(・)分身の術!!」
ナルトが使用したのは、分身の術ではなく、影分身の術。どこがどう違うのかというと、影分身は、残像ではなく、実体を作り出す術。この術は本来、上忍レベルの術で、十五人に分身したナルトは全員本物である。
「ああ……うん。合格な……」
驚きのあまり、どのようにリアクションを取って良いのか分からなかったイルカは、驚くのは後にして、まずは合格認定を先に済ます事にした。
中忍の自分でも使えない術を、アカデミー生徒のナルトが使ったという出来事を冷静に受け流したイルカの顔は、これでもか、という程に引き攣っていたという。

「母ちゃん!!俺合格したってばよ!!」
アカデミー卒業試験の後は、親が迎えに来るのが通例である。子供の合格を逸早く知り、祝福する為だ。
「凄いわねナルト!父さんもきっと喜ぶわ!」
飛びついてきたナルトを、見事にキャッチして抱きしめるクシナはナルトの頭をガシガシと撫で回す。そして今日はそのまま帰宅する事になり、夕飯はナルトの大好物を出す事になった。勿論、ラーメンである。

翌日。この日はアカデミーを卒業した下忍達が、予め決められている、四人一組を組んで、班を結成する日だ。四人の内、隊長として一人だけ上忍がつく事になっており、自分達で好きに組めない事に生徒達は不満を覚えるが、イルカがその必要性を諭すと、不承不承といった具合に、渋りながら、イルカの発表にあるものは喜び、あるものは落胆する。
「よっしゃ!サスケと一緒だってばよ!」
「まぁ……悪くないな」
素直に喜ぶナルトと、本当は嬉しいのに意地を張るサスケ。両者の様子は対照的で、サスケの方は見るものによっては、ツンデレと取られても可笑しくない。
「で……お前は、春野サクラだったか?」
「サクラ!よろしくな!」
自分達と同じ班に組み込まれた桃色の髪を生やしたサクラにサスケとナルトが挨拶をする。
「うん!よろしく!サスケ君、ナルト!(しゃーんなろー!サスケ君と同じ班になれたー!あと一人は火影様の子供だし……私って勝ち組!?よっしゃ!)」
いい雰囲気になってきている第七班。この班にこの後、一番最初の苦難が待ち受けていた。

『……っ遅い!!』
三人の声が重なり、教室内に響き渡る。ここにはナルト達以外、誰もいないので、苦情が来る心配はない。むしろ、自分達を待たせている遅刻魔に、ナルト達が苦情を言いたいくらいだ。
「俺達の担当になる先生……俺、誰だか分かっちゃった気がするってばよ」
「奇遇だな。俺もだ……」
ナルトとしては嬉しさ半分、呆れ半分である。あの人物が、遅刻魔だという事は重々承知だが、今回ばかりは酷すぎる。何せ班としては初の顔合わせに遅刻するなど、隊長への不信感を募らせる一方だ。因みに、その遅刻魔とは、ナルトを通じてサスケも知り合ってており、イタチが忙しい時はその人に遊んでもらっていたのものだ。
「え?え?二人共……もしかして知り合いなの?(しゃーんなろー!遅いってもんじゃ無いぞコラァ!!)」
その時だった。教室の扉がガラガラと音を立て開き、そこにいたのは、カカシだった。
「どうも……ナルトとサスケは知ってるけど、君は初めてだな。屋上で自己紹介するからついて来い」
第七班の隊長はカカシで確定した。これはどこぞの親馬鹿の決定であり、実力的にも、能力的にも我が息子とうちはの少年を教えられるのはカカシしかいないと判断した為だ。サクラは、まあ、こういっては何だが、数合わせだ。三人はカカシの背中を追いかけ、屋上へと向かっていった。