二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: NARUTO─木の葉忍伝 ( No.17 )
日時: 2012/07/26 17:33
名前: 近衛竜馬 (ID: fxK7Oycv)

現在、アカデミーの屋上で第七班は自己紹介を行なっている。順番はナルト、サスケ、サクラ、そして最後にカカシだ。
「俺の名前は波風ナルト!趣味は父ちゃんとの修行!好きな食べ物は一楽のラーメンで、嫌いな物はお湯を入れてからの三分間!将来の夢は父ちゃんみたいな立派な火影になる事だってばよ!」
「うちはサスケ。趣味は兄さんとの修行……好きな食べ物はトマトで、嫌いな物はウザイ奴。将来の夢は木の葉警務部隊の副隊長になって、隊長になる兄さんを支える事だ」
「私は春野サクラ……趣味は、色々あるけど……好きな物は、っていうか人は……秘密です。将来の夢も言っちゃおうかな〜?」
チラ、チラとサスケを見ながらニヤニヤと笑みを浮かべるるサクラの横で、サスケはキリキリと鉄杭を捩子込まれているかの如く痛む腹を抑える。ウザイ奴が嫌いだと言ったばかりだろう。とは思っても口には出さない。
「最後は俺だな。名前は、はたけカカシ。趣味は読書で、好きな物は、とある有名な忍びが書いたシリーズ小説。嫌いな物は、掟やルールを守らない奴。将来な夢は……ま!四代目の様な忍びになる事かな?火影にはならないけどな」
四人の挨拶が終わった所で、カカシはナルト達へ、順繰りにプリントをくばる。そこには、明日行う、『下忍の合否を決める試験』の内容が書かれていた。これを見て、ナルトもサスケも大して驚きはしなかった。仮にも、二人は火影の息子と里でトップクラスの名家の出。分身の術程度で忍者になれるなどという事に疑問さえ持っていたぐらいだ。問題はナルトやサスケに比べると、どこまでも『普通の子供』であるサクラだ。
「ちょっと待ってください!下忍の合否って……私達はアカデミーを卒業したんですよ!?なのにまた試験って……」
ワーワーと騒ぎ立てるサクラにサスケは露骨に悪感情を感じさせながら溜息をつくと、軽く睨みつける。「お前……まさか分身の術が出来る程度で忍びになれるとでも思っていたのか?」
サスケのその言葉でサクラは叱られた子供のように、シュン、と落ち込んだ様子になる。
「まぁ。そんなに落ち込む必要は無いってばよ!それと、サスケ、お前は女の子に優しくてやれってば!」
ナルトの言葉に、サスケはフンと鼻を鳴らしたあと、そっぽを向く。
忍者としての素質を備えているが、気の短いサスケ。座学の成績はよかったが、問題の答えを知っているだけで、それを活かせていないサクラ。忍者としての素質も備え、協調性もあるが、成績をみると、忍術と体術が上位で、座学が学年で真ん中より少し上程度のナルト。チームとしてはそんなに悪くない。ナルトとサスケの二人は幼馴染の親友だし、ナルトは父親譲りの優しさを持っている。サクラだって、サスケに好意を抱いているし、ナルトにも火影の息子としてだが、いい印象を持っているみたいだ。しかし、まずはやはり、明日行う試験を通過しなければ話にもならない。
「ま!明日行う試験は大体わかってくれてる様だな。ルールは明日話すから、今日はよく寝て、明日、朝御飯はしっかり食べてくるように!お前達はまだ育ち盛りだからな。忍具一式も持ってこい!」
そういってカカシは忍者らしく瞬身の術でその場から立ち去り、ナルト達は、それぞれの自宅へと帰った。

そして当日。ナルト、サスケ、サクラの順で右から時計回りに座っていた。これは作戦会議の為だ。ルールの内容もまだ知らないのに、と思うかもしれないが、試験がどんな内容でも作戦は立てないより、立てる方がずっと良い。
「多分だけど……試験には戦闘も含まれてる筈だってばよ!だから、とりあえず戦闘の時のポジションだけでも決めておこうぜ!」
ナルトの言葉を切っ掛けに、サスケとサクラが作戦を立て始める。やはり、以前シノが言っていた通り、頭の良い者が作戦を立て、戦闘力のある者がそれを実行した方が、戦闘というのは上手くいく。ナルトは忍具の数を数えたり、チャクラコントロールのトレーニング等、出来ることをやっておく。
幸い、カカシは例の如く遅刻しているので、作戦を立てる時間はたっぷりとある。今だけはカカシの遅刻癖に感謝しなければいけない。

「やぁどうもどうも。綺麗なお姉さんに声かけられちゃって……」
『ハイ、嘘!』

そんなこんなで、試験の説明が始まる。ルールは簡単。いや、簡単なようで難しい。それは、昼十二時までにカカシの腰に吊るされた、小さな鈴を奪うという物だ。鈴を奪えなかった者は、勿論不合格。しかし鈴は全部で二つしかない。という事は必然的に誰か一人が不合格という事になる。
「じゃあ……試験開始だ」
カカシは、昨日と同じ様に、瞬身の術で三人の前から姿を消し、ナルト達下忍だけがその場に取り残される。
「ち……ナルト!作戦会議だ!」
早くも、サクラを切り捨ててナルトとの合格を選んだサスケに、ナルトは駄目だ、とそれを拒否する。どういう事だろうか。
「俺は……三人で合格したい。だから、ちょっと俺の話を聞いて欲しいってばよ」
ナルトは、サスケを引き止めてサクラも作戦会議に混ぜ、話を進める。
「まず、カカシ兄ちゃ……先生は、昔、俺の父ちゃんの部下だったんだってばよ。丁度、今の俺達みたいにカカシ先生が下忍だった頃、俺の父ちゃんが隊長としてついた。もちろん、オビト兄ちゃんやリン姉ちゃんも一緒にだってばよ」
ナルトの話を聞いて、サスケは何かに気づいたような表情を浮かべた。しかしサクラは、オビトやリンといった名前に気を取られて、少々混乱している。
「で、父ちゃんの師匠、エロ仙人も、他の二人と一緒に、三代目の爺ちゃんの弟子として、四人一組で動いてたって、話を聞いた事があるってば。つまり……」
「忍びは、任務時は常に四人一組……この試験で一人脱落するというのはハッタリ。そういう事だろ?ナルト……」
ナルトの言葉を遮って、サスケが得意げにその続きを言う。
もし仮に、ここで一人脱落したとしよう。しかしその補充要員はどこから来るのか。試験を通過できなかった、実力的に問題のある下忍なんてのはまず有り得ないし、他の班だって同じような試験をやっているだろうから、それではその年の下忍の数が減り過ぎてしまう。
「なるほど……つまり先生は私達に仲間割れをするように仕向けたという訳ね?」
サクラも、出来のいい頭で理解した様で、ナルトとサスケに続いて、自信ありげに立ち上がる。
「行くってばよ……サスケ!サクラ!」
ナルトと掛け声と同時に、三人はカカシの元へと向かった。