二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: NARUTO─木の葉忍伝 ( No.3 )
- 日時: 2012/07/09 09:17
- 名前: 近衛竜馬 (ID: AzSkpKat)
三歳児などの幼い子供という物は色んな物に興味を示す。天井の電気や親が見ている書物。ナルトは何処にそんな体力があるのか、一日中家の中を歩き回っていた。そしてナルトの家=火影の家という事で、その広さは半端なものではない。
「かーちゃん!あれなんだってばよ?」
ナルトが指を刺したのは部屋の壁にかかっている、黒い布の上に模様が書かれた鉄板が取り付けてあるバンダナのような物だ。
「これはね。額あてって言って、忍者にとって必要不可欠な物よ。忍者にとって額あては誇りそのもので、命と言っても言い過ぎじゃないの。ナルトも将来はこれをつけてお仕事するのよ?出来るかしら?」
クシナが壁から額あてを取り、自分の頭に取り付ける。今いる部屋はミナトとクシナの部屋。ミナトは今仕事に行っている為、この額あてはクシナの物と言う事だ。
「ナルトのお父さんはこの里の長で、火影って呼ばれてるの。ナルトは、将来どんな忍者になりたい?」
「勿論、火影だってばよ!そんでそんで!とーちゃんみたいなすげぇ忍びになって俺が里のみんなを守るんだってばよ!」
ナルトの元気の良い返事にクシナは表情を綻ばせながら頭を撫でる。
「いい目標ね!でも、火影になるのはすごく難しい。近道なんて一つも無いわ。だから……」
「おう!今からいっぱい修行して、力をつけるってばよ!!」
ナルトの家内散歩は夕方頃まで続き、歩き回って疲れたのか、夕飯を食べた後、ナルトはすぐに寝てしまった。ナルトが寝ている横でクシナはミナトと共に布団の上で、今日あった出来事を話した。
「へぇ。ナルトがそんな事を……火影としては嬉しいけど、なんだか複雑な気分だね」
「ふふ……どうして?」
「ナルトには平和に暮らして欲しいからね……忍びっていうのは常に死と隣り合わせな仕事だから、父親として心配だよ」
クシナはミナトの頬を撫でた後、優しく微笑んで軽く口づけをする。
「大丈夫よ。ナルトは私達の息子だもの。きっと立派な忍びになってくれるに違いないわ」
「そうだね……じゃあナルトが六歳ぐらいになったら修行を始めようかな……」
夫婦は、ナルトの将来に夢を膨らませて、そのまま眠りに入った。
次の日────
「かーちゃんここ、どこだってばよー?」
ナルトはクシナに連れられて里のとある場所に来ていた。そこは木の葉の名家、うちは一族の居住地区だ。無論、一族以外の人間も出入り自由であり、クシナも友人の家に行くためにナルトと手を繋ぎながら道を進んでいる。
「ここはうちは一族の皆が暮らしてる地区で、ここらへんに母さんのお友達の家があるの。ナルトも赤ちゃんの頃に来たことがあるんだけどね」
クシナはナルトの手を引き、歩調を合わせながら目的地へと進んでいた。ナルトは自分もここに来た事があると知り、思い出してみるが、それは赤子の時の事なので覚えている筈がない。
「ミコトー!来たわよー!」
クシナが平屋建ての家の前で声を張り上げると家の襖がガラガラと音を立てて開き、そこには黒髪の女性が立っていた。
「いらっしゃい!クシナに……ナルト君!立ち話もなんだから入って入って!」
ミコトの促すまま、クシナはナルトを連れて家の中へ邪魔した。
「いやーナルト君は素直で可愛いわね〜?家のサスケなんか私よりお兄ちゃんのイタチに懐いてるのよね……」
「あはは、寂しいの?あ、そうだサスケ君呼んで来てよ!丁度ナルトと同い年だし、仲良くなれるかもね」
クシナに言葉を聞き、ミコトは長男であるイタチにサスケを連れて来るように声を掛ける。暫くすると、サスケがイタチに背負われたまま姿を現した。ナルトは始めて見た自分と同い年のサスケに興味津々で、いつになく落ち着きがない。
「ハハッ。本当にイタチ君にべったりなのね?サスケ君!この子はナルトっていうの。友だちになってあげてね?」
サスケはナルトに目をやった後、コクンと頷き、その後すぐにイタチの後ろに隠れてしまった。ナルトとは言うと、友達という響きが嬉しいらしく、サスケに近づいていく。そしてナルトが手を指しだすとサスケはその手をギュッと握って握手をした。
「友達だってばよ!」
「うん……」
今は恥ずかしがっているサスケだが、数十分後にはナルトと一緒に家の中を走り回っていた。その様子を微笑ましく思っているクシナとミコトだが、逆に転んで怪我しないかと心配しているイタチはサスケにあんまり走るなと忠告する。
「じゃあ兄さんも一緒に遊ぼ」
「え」
「そうだな!イタチにーちゃんも一緒に遊ぶってばよ!」
結局、イタチも二人に振り回される形で遊びに付き合い、クシナがナルトを連れて帰ろうとしった時はナルトもサスケも目に涙を溜めながら別れを惜しんだ。
「また遊ぼうな!」
「うん!」
サスケのことばにナルトは元気良く答え、帰り道ではナルトはクシナにサスケの事ばかり話していたという。