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　傷で抉られた心も、何時かは時間が癒してくれるでしょう。

　私？　私は、まだまだ時間が足りません。
　あと、何年かかるでしょうね————……。


　　　　　＊昔話。


　あれは、今から、大体百年程前のお話。
　私は、今と変わらぬ姿です。


　平和に、家族と過ごしていました。
　それだけで、幸せだったのに。



　　私達が住んでいた村で、殺人が起こりました。

　その村に、殺人を犯すような人など、いなくて、両親が疑われました。

“鬼”というだけで。


　そして、父と母は、射殺されました。


　私は、一人ぼっちです。


　どうして、何で。


　そんな考えで頭がいっぱい。


　　————能力を使える様になったのも、この頃で、犯人は分かりました。


　けれど、鬼の子の言う事など、誰も聞くはずもなく。


　ずっと、ずっと。


　今日まで、ずっと。


　何処に居たのかも分からない、彷徨っていた。



　　そんな、絶望の世界で、私が、此処に居ても良いと、認められたのが、此処でした。



　優しい皆を、救いたいから、私は今日も。



　　犠牲になろう。