二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

カメラの充電は切れやすい ( No.7 )
日時: 2012/07/15 23:06
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

注!
・先生と銀さんのキャラが激しく(←ここ重要)崩壊しています。
・先生親馬鹿
・銀さんは家やプライベートなど、家族の前でだけ口調と精神年齢が幼くなります



銀魂高校から約三㎞の地点にある、なだらかな坂。それを登ったところに純和風の屋敷があった。
『吉田』の表札が掲げられたその家の主(あるじ)は、とても聡明で近所からの評判もいい。
だが、彼には致命的な欠点がある。
それは彼が重度の親馬鹿だということだった。
                     ***
「お前達の高校の制服姿を拝めるなんて私は幸せ者です!」
そう言ってデジタルカメラを構えているのはこの家の主、吉田松陽だ。そして彼の前には四人の少年。
全員どこかげっそりとした表情でその場に突っ立っている。
「父さん、いい加減に着替えたいんだけど・・・。」
「駄目です!!アルバム一冊作るには最低でもあと十五枚は撮らないと!」
恐る恐る言った銀時は、松陽の言葉に深々と溜息をついた。その間にも松陽はバシャバシャと写真を撮っていく。
色素の薄い前髪の下の目は、らんらんと輝いていた。
「・・・父さん、もう十五回は過ぎましたよ?というか、学校に行く前も撮ってたじゃないですか。」
十五回を過ぎてもカメラから発せられる光に、小太郎が指摘する。その言葉に松陽は一旦写真を撮るのを中断した。
「・・・あと五枚撮っちゃ駄目ですか?」
「駄目です。」
ニッコリと微笑みながら小太郎は松陽の要求を斬って捨てる。この家でお母さん的ポジションにいる彼のいうことを聞かないと、後々面倒なこと(例;一時間半の説教+正座)になるので、松陽は渋々カメラの電源を落とした。
「では俺は着替えてきます。」
小太郎は床に置いていた鞄を拾い、部屋の障子戸の方へと歩き出す。
だが数歩行ったところでピタリと立ち止まり、首だけを辰馬の方に向けた。
「そういえば、今日の夕飯の当番は兄さんではなかったか。」
「おお、そうじゃった!」
そう言って部屋から出ていく小太郎と辰馬。小太郎はあまり足音を立てないが、辰馬はバタバタと音をさせて走って行った。
「今日の夕飯はなんですかねぇ。」
誰にともなく呟いて、松陽はカメラを懐にしまう。
「辰兄のことだからどこかの国の名前も分からないような料理でも作るんじゃないかな。」
銀時の言葉に晋助が同意する。
松陽はクスリと笑うとそばに置いてあった羽織を自らの肩に掛けた。
「お前たちも早く着替えてきなさい。春とはいえ夜は冷えますよ。」
そう二人に言って松陽も部屋を出る。
淡い色の着流しの袖がふわりと風に揺れた。