二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

入学したては、一日に三・四回くらい自己紹介をやらされる。 ( No.8 )
日時: 2012/07/08 22:24
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

*いまさらですが、この小説の季節感はくるっております。
もう七月なのに、この話ではまだ入学したてです。


次の日、土方は伊東とその兄の鷹久、そして恋人のミツバとともに校門をくぐった。因みに土方は昨夜大量に送られてきた沖田による嫌がらせメールにより、かなり機嫌が悪い。
「すいません十四郎さん。そーちゃんがまた迷惑かけて・・・。」
申し訳なさそうに俯くミツバ。土方は慌ててイライラとした表情を消す。
「ミツバのせいじゃねぇよ。悪いのはあいつだ。」
土方の脳裏にあの憎たらしい顔が浮かぶ。自然と右手に持った鞄の持ち手を握りしめていた。
「許してあげてくださいね?そーちゃんには私しか家族がいないから、きっと寂しいだけだと
 思うの。」
握りしめていた右手がゆるむ。長い沈黙の後、土方は小さな声でああ、と呟いた。
「・・・鴨、僕たち空気になってないかい?」
「全く、リア充爆発しろ。←(ボソリ)」
「鴨太郎!?キャラ変わってる!!」
土方とミツバに忘れ去られた双子の片割れが壊れだしたようだ。
鷹久はこれ以上のキャラ崩壊を防ぐため、数メートル先を行く二人の方へと小走りで走り寄って
行った。
                    ***
「はい、席着け〜。」
ミツバと鷹久と別れ教室で伊東と話していた土方は、紡ぎかけていた言葉を飲み込んだ。
松平は真っ直ぐに教卓まで進むと、その上に出席簿をバンと置いた。
「よしテメーら揃ってるな。これからテメーらに自己紹介をしてもらう!」
いきなりの発言にクラス全体がざわめいた。
松平は出席簿を教卓に叩きつけてそれを静めるとサングラスを押し上げる。
「ごちゃごちゃ言わねーでさっさとやれや。自己紹介っつったら入学したての伝統だろ?風物詩だろ?クラスメイトの名前も知らねえ奴が文句言うな。」
自己紹介が伝統(または風物詩)なのかどうかは甚だ疑問だが、松平の言うことにも一理ある。
そんなこんなで一年C組の一限目は「自己紹介」となった。