二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

バカと鴉と召喚獣 ( No.13 )
日時: 2012/07/10 23:39
名前: 蒼月悠斗 (ID: zWzUF/vQ)

 ほにゃっと嬉しそうに笑う姫路さんの笑顔に、明久はデレッとしていた。

「むー……っ。瑞希って、意外に積極的なのね……」

 そう呟く島田さん。そりゃあ、あんなこと言うから姫路さんは作ったんです。何にもしない島田さんが言っても、それはただの負け犬の遠吠えにしかならない。現に、明久の好意は姫路さんに向いていますからね。

「それでは、せっかくのご馳走じゃし、こんな教室ではなく屋上でも行くかのう」
「そうだね」

 まあ、この環境じゃ何かと拙いだろう。

「そうか。それなら、お前らは先に行っててくれ」
「ん?雄二はどこか行くの?」
「飲み物でも買ってくる。昨日頑張ってくれたお礼も兼ねてな」
「あ、それならウチも行く!一人じゃ持ちきれないでしょ?」

 一体、どういう風の吹き回しでしょうか?

「悪いな。それじゃ頼む」
「おっけ!」

 雄二と島田さんは、飲み物を買いに出て行った。
 そして、僕たちも屋上に向かう。

「あ、先に行ってて。僕と秀吉も、後から行くから」
「どうしてなの?」
「足に障害があるから、階段の上り下りが辛いんだよ」
「なら、先に行って待っているよ」

 そう言って、明久と姫路さんとムッツリーニは先に向かった。

「秀吉、手伝ってくれるかな?」
「うむ、わしに任せよ」

 僕は秀吉に荷物を持ってもらい、手すりを伝い、階段を上っていく。

「ありがとう、いつも助けてくれて」
「いいんじゃよ。わしだって、鴉が心配なのじゃ」
「うん、嬉しいよ」

 話しながら、屋上まで向かった。そして、開けた扉の向こうで、惨劇は起きていた。

「……何があったんです?」
「……お主らは何をしとるんじゃ?」
「あ、鴉に秀吉!姫路さんの弁当を食べたら、ムッツリーニが倒れた!」


 僕は明久に聞いた。そしたら、姫路さんの弁当は毒物兵器だったみたい。やっぱり、どこに行っても薬品を買えないように手配しないと。

 と、その時——。

 勇気ある雄二が弁当を食べて、倒れた。これは、もう手遅れなのかもしれない。

「ごめん、姫路さん。料理に薬品を使用するのは止めてください。いずれ、あなたは犯罪者になりますよ」
「え?料理に薬品は使わないんですか!?」
「はい、使いませんよ。というより、常識ですが?」

 僕は姫路さんの料理を食べてみた。


「見た目はいいです。べったりする衣に、醤油よりわさびがつよ…ごばぁ!」


 僕は薄れゆく意識のなか、秀吉に微笑んだ。ああ、姫路さんのご両親にお話しなくては。