二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと怨炎の幻想 ☆番外編☆ ( No.982 )
日時: 2012/10/08 21:16
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

短編4の続き(ハル視点)

兄・氷介が亡くなってから約5年が過ぎた。
優しかった兄は世の中に存在しないことを認識しているはずなのに、どうして自分がこんな目に合わなきゃいけないんだろう。

「ハル、ヒョウちゃんは天国から見守ってるさ・・・・・・」

私の様子を見ながら、空を見て呟く。
兄・氷介がいなくなった今は幼馴染のバンが一緒にいてくれたから寂しくなかった。
寂しさを紛らわすため、明るく振舞いながら強がることを意識して生き続けてきた。

「でも、兄さんがいないと辛いんだなあ」
「バカ、なーに言ってんだよ。ヒョウちゃんはおまえの胸の中にいるさ」

トンと私の胸を指差しながら呟くバン。
心の中で生き続ける、そんな兄の姿を想像しては何度も泣きそうになった。
それでも励ましながら支えてくれたバンがいるから、ここまで生きていけたというのが素直な感想である。

「俺は大事な存在を失いたくないから、これからもハルを支えるよ」
「バン・・・・・・」

幼馴染がいるから、強がることもなく生きていけるのだと信じてほしい。
バンは私に対して、どんな思いを抱きながら生きてきたんだろう。
幼馴染としての思いは今も変わらない------------------------

「ハル?」
「ううん、なんでもない・・・・・・・」

目の前に居る幼馴染を見据えた上で、天国に居る兄の姿を見たいと思ったのはいつからだったろうか。
中3のときに大事な存在を失い、生きる希望をなくした私の様子を見て知ったバンは学校に来ないのを心配して、家に来てくれた。
心優しい彼の性格に何度か救われたことがあったし、バンがいなければ生きていける価値などなかった。

(今はバンがいるから、兄さんがいなくても頑張れるのだから----------)

やっぱり、持つべきものは幼馴染という存在。
大切なものを失いたくない、目の前で死んでいく姿など見たくないのだ。

「ねえ、バン! 2次会、一緒に行こう!!」
「えっ、うん・・・・・・急に開き直って、どうした?」

私の様子を見てビックリしたが、バンは苦笑しながら見守っていた。
幼馴染としての存在を認めているのかどうか知らないが、2次会が終わってから聞くことにした。




今夜7時ちょうど、2次会の会場となる居酒屋に向かった。
バンと一緒に登場しながら、店の中に入る。

「お待たせ--------------------------!!」

颯爽とした2人の登場を待ち侘びた同級生たちは大喜びで歓声を上げた。
久しぶりの再会に期待を膨らませ、楽しもうということになった。

「久しぶりじゃない、ハル!!」
「おお、久しぶりね! あっちゃん」

直見温子も再会を待ち侘びていたようで久しぶりの再会を果たした。
バンは男子グループと交流しながら、ふざけあって話している。

「バンのヤツ、相変わらず元気そうね」

幼馴染であり、親友の高橋輝美はバンを見て思わず苦笑する。
同級生だから分かってしまうのは確かだし、バンも久しぶりの再会を果たした上で酒を飲みながら談笑しているようだ。

「あいつが飲み過ぎなければ・・・・・・・の話だけどね」
「そりゃ、幼馴染だから旦那でしょ?」

テルのからかいを聞いて、少しキレた。

「それはないでしょ! 旦那じゃないんだから!!」
「ダーリンだもん、愛しの彼氏でしょ」
「愛しの彼氏!?」

私は違うと言いながら、首を振って答える。
匡子たちもテルの言うとおりだと言い切った。

「テルの言うとおりよ、私たちも同じだと思うけど」
「そりゃ、彼氏さえ居れば良いんじゃない?」

テルと匡子がそれぞれ言いながら、次第に私を追い詰める。
その一言が何か気になるんだけど・・・・・・バンじゃないと無理っていうところか。

「よく言ってくれるじゃない、そんなんじゃないって!!」
「そんなんじゃないってどういうこと?」

テルは夫婦同然だもんと言い切りながら、話を聞かない。
匡子たちも無言でコクリと頷いて納得するかのようなしぐさをして見せた。

「ちょっと、あんたたちねぇ・・・・・・」

テルたちを見て思わず突っ込みそうになったが、今回は仕方がないから留めておくことにした。
バンはイケメンだし、体つきが逞しいのは確かなんだけど・・・・・・中学の時から付き合ってきて、話すことが楽しかったのを覚えている。

「バンはイケメンだけど、結構イカすよね!!」
「だって、高校になってからも相変わらず、イケメンなくせにカッコいいんだからさ!!」

キャーキャーと女子たちは黄色い声を上げながら、男子グループと酒を飲みながら話しているバンを捉えた。
イケメンなのは確かだけど、チヤホヤされて話しかけられるっていうのが気に食わない。

「あのねぇ・・・・・・」

怪訝そうにテルたち女子を見つめながら、思わず苦笑した。
バンたち男子を見る限り、楽しそうに雑談しながら喋り捲っている。
幼馴染であることには変わりないのに、どうしてこうなっちゃうんだろうなと思いながら見つめていた。