二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 旅人は陽気に歌う。 ( No.2 )
- 日時: 2012/07/17 20:17
- 名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: W6MelwHU)
(人の不幸は蜜の味。だったらあたしの不幸は苦汁だね)
窓からさあと吹く風は姿かたちは見えないけど確かに私たちを通り過ぎて、まっすぐまっすぐどこかへ消えていってしまった
「ねえ水銀燈?」
銀のさらさらと細長いが風に乗ってそよそよと優しく揺らめいた。
いつものように髪をとかしているめぐの声は柔らかかった。
「なあに」
「深淵ってどんな所なのかしら」
クスクスと小さく笑いながら問いかける。
水銀燈はめぐを横目で見るように首だけを少し動かした、その顔は少し不機嫌そうに眉間にしわが寄っていた
「急にどうしたのお馬鹿さん、気持ち悪いから止めなさい」
「怪物と戦う者は自らが怪物とならぬよう心せねばならない。 何故なら お前が深淵を見つめる時、深淵もまたお前を見つめ返すのだから」
少し長いめぐの言葉にさらに眉間にぐっと力を込める水銀燈。
「私はね、水銀燈。怪物と戦ったことはないけれどきっと深淵っていう所にはすぐ行けるような気がするの、ビルの屋上の境界線を飛び越えるように刃物で私のポンコツを突き刺すように、きっと簡た—」
悲しそうに、淀んだような憂いを秘めた瞳で微笑みながら自分の心臓に手を当てて話す。
水銀燈は何が気に入らなかったのか話を最後まで聞くでもなく目具の手に握られた櫛を弾き飛ばして羽で窓枠まで飛ぶ、
「深淵だか怪物だか知らないけどわけのわからないこと言ってんじゃないわよ、今あんたに死なれると困るのはこっちなのよ」
背中を向けたまま口から発するのはとげとげしい言葉。
「それでも、契約してくれたのは貴方でしょう?水銀燈」
(あんたと居てもいい事なんてありゃしないわ)
(人の不幸は蜜の味、私の蜜を吸い尽くしてね、いつか空に飛びたいの)
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はい、後書きと言う名の補足です。
めぐちゃんが私の蜜だなんだと言ってるのは自分の命です。
めぐちゃんにとっての不幸→生きてること→命
みたいな感じでパーン!なったのでやりました。全体的に暗いっすね((