カノさんはそんなシンタローさんに声をかける。それが、いけなかった。「大丈夫。もう少しだから、大丈夫。」「…………んなのんびりしてる場合かよ!オレの家族だって死ぬかもしれないんだぞ!?」シンタローさんは、カノさんの悠長な言葉に苛立ってか、大声で叫んだ。無精髭は私達のほう見ると、こちらに歩いてきてしゃがみこみ、シンタローさんに顔を近づけた。「てめえは何なんだようるせえな……」シンタローさんはその声を聞くと、恐怖からかガクガクと震え出す。