「いいよいいよ。それにイチハラちゃんが逃げ遅れたら僕が殺されちゃう。」アハハ、と笑った後の青ざめた顔を見れば、誰になんて問わずともキドさんにだと理解する。私は少し迷った後、抵抗するのを止め、ポスリとカノさんの背中に顔をうずめる。「………」小さな頃お父さんにされた以来だよ、おんぶなんて。しばらくは、熱い頬を隠すように、私は顔をうずめたままだった。