二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ〜二人で一つ〜 ( No.200 )
- 日時: 2012/10/01 21:33
- 名前: このみ (ID: FMSqraAH)
第15Q 「僕等はどこまでも、 part8」
また、夢を見た。
暗闇の中を、私は歩いていた。
皆、どこ?どこにいるの?
ここだよ、なっちゃん。
見えない、暗くて見えないよ。
大丈夫、もう少しだから。
もう少し?あと、どれくらい?
そのまま歩いていれば、辿り着くよ。……ほら、
さっちゃんの声が、私を導いた。
歩いて歩いて、何かが見えた。
光。
何かが光を出している。
あれは、何?
手を伸ばした。
そうしたら、何かが私のその手を掴んで、引っ張り上げた。
顔を上げたら、皆がいた。
さっちゃん、征くん、大ちゃん、テツくん、真くん、涼ちゃん、むっくん。
皆が、笑っていた。
なっちゃん。ほら、大丈夫だったでしょ。
てゆーか、どこ行ってたんだよ、なつき。
勝手に居なくなるな。誰かに伝えてから行け。
心配しました。バニラシェイク奢ってください。
お前は直ぐに何処かに行く。どうせ迷うのだから、紫原でも連れていくのだよ。
ってあれ!?なつきっちなんで泣いてるんスか!?
あららー。ミドチンが怒るからなつちん泣いちゃったじゃんー。飴あげるー、だから泣き止んでー?
俺のせいではない!……ハズなのだよ。
ちょっと!私の妹を泣かせないでよ!
なつき、安心しろ。緑間のメニューは三倍にしておく。
うっわ、緑間っち、今日は歩いて帰れないッスよ……。
黄瀬、お前も三倍にするか?
すみませんでしたぁぁああ!
おい……なつきを泣かせたのはどこのどいつだよ……あ?出てこいや。
青峰くん……、ダメですよ……。
ああ、皆だ。
私が好きな皆が、いる。
ここに、ずっといたい。
現実なんか忘れて、ずっと……。
ってああ!!もうこんな時間じゃない!
もうさよならですか。
短いのだよ。
もっと一緒にいたいッスー。
ダメ!なつきはもう帰らないといけないの!
……?どうして?
私は、ここにいたいのに……。
なっちゃん、出口はあっちだよ。
じゃあな、なつき。
なつき、次来たときは笑ってくれよ。
なつきさん、暫くの間、さよならです。
なつちん、ばいばーい。
そんな顔をするな、なつき。また会える。
なつきっち、また会おうッス!
嫌だ!私は、私は……。
ダメだよ、なっちゃん。なっちゃんは、向こうでやることがあるよね?だから、ダメ。
大丈夫、ちゃんと話せばいいの。
なっちゃんは、もっと誰かに頼らなきゃ。
私たちがなっちゃんの力になる。それを、忘れないで。
背中をぐいぐいと押される。
また、光が見えた。
行ってらっしゃい、なっちゃん。
その光が眩しくて、目が離せなかった。
『ん……』
目を開くと、視界に映るのは真っ青な空。
視界一面、青に埋め尽くされている。
いつの間に、仰向けに寝ていたっけ。
「起きたー?」
『っ!?』
不意に聞こえた声。
思わず上半身を起こした。
そう言えば、さっき頭の位置が……。
「おはよー、なつちん」
『むっ、くん……どうして』
振り返れば、そこには足を伸ばし、壁に寄りかかって座るむっくんの姿。
どうやら私は、彼に膝枕というのをさせていたらしい。
申し訳ない。申し訳ないが、何故だ。
どうして、彼がここにいる。
「んーとね、十五分くらい前に、なつちんを見つけてー。泣いてたしー寝心地悪そうだったから膝枕してあげたー」
泣いていたのも、見られていたのか。
顔を触ると、涙の跡のカピッとした感じがあった。
「なつちんは訊かれたくないかもしれないけど、気になるから訊くねー」
ああ、ついにきた。来てしまった。
諦めよう、もう。
「なんで、泣いてたの」
彼は語尾を伸ばさずに訊いてきた。
それがはぐらかしても無駄だということを語っていた。
————大丈夫、ちゃんと話せばいいの。なっちゃんは、もっと誰かに頼らなきゃ。————
そうだね、さっちゃん。
『あのね、』
彼は、どんな反応をするのだろうか。
妹と覚悟、終。
(心配をかけたくないなんて言って、)
(私はただ逃げていただけだった)