二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ〜二人で一つ〜 ( No.396 )
- 日時: 2012/11/04 20:27
- 名前: このみ (ID: q7aY8UsS)
パロディ カゲロウデイズ
8月14日 紫
ガバリと起き上がる。
嫌な夢を見た。内容は覚えていない。でも汗がだらだらと流れていた。
時計の針がカチカチと音をたてる。
今は、何時だ。
携帯に電源を入れると、「8月14日 12:05」と記されていた。
電源を切ると、窓の外から蝉の音が聞こえてきた。
それを聞いて、やけに煩い蝉の値を前に聞いたことがあったな、と思った。
それにしたって、暑いな。
そう言えばジュースが無かった。買いに行こう。
簡単な服に着替えると、家を出た。
なんか、不思議だな。
ぼんやりと頭の隅で思った。
目の前にはなつきがいる。
なつきは無表情でこちらを見つめていた。
どうしたの、敦。
彼女がそう訊くから、んーん、なんでもなーいとだけ返しておく。
さっき見た夢を、思い出した。
このあと、なつきはトラックに跳ねられる。
なんか嫌な気分になった。
だって、自分の彼女が死ぬのだ。いい気分になんかなれやしない。
「もう、今日は帰ろっかぁ」
『ん。そだね』
彼女はコクりと頷いて、俺の一歩後ろに立った。
いつもは隣に立つのに、後ろに立ったことに違和感を持ちながらも、それについて深く考えようとはしなかった。
そして公園の入り口を抜けたとき、周りの人、皆が皆、上を見上げて口を開けていた。
なんなんだ、そう思って自分も上を見上げれば、鉄柱らしきものが接近していた。
それをなつきに伝えようとして隣をみたら。
落下してきた鉄柱が、彼女をつらぬいていた。
周りの人のつんざくような悲鳴と、何処からか聞こえてきた風鈴の音が、自分の中でぐるぐるとまわった。
歪みそうになる視界を必死にこらえて、ぐるりと周りを見渡す。
そこには、黒猫。
ああ、昨日もお前がいたな。
お前が、なつきを殺したのか。
思い切り睨み付けてやれば、黒猫はニヤリと嗤って、
——夢じゃないぞ——
と言った。
眩んだ視界に、なつきの横顔が、笑っているように見えた。
(嘘だ)
(なつきは死んでいない)
(また、夢になってしまえばいい)