二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

    赤色の君に送る恋詩. | 001. ( No.15 )
日時: 2012/07/24 19:20
名前:  ゆう  ◆Oq2hcdcEh6 (ID: fOW/FHMu)








  | 01.赤色ハサミに一目惚れ





 バスケットボール? 何それ、美味しいの?
 素敵な恋が待ち受けるという中学校生活、期待に胸を膨らませて入ったそこは最早ただの恐怖のカタマリでしかない。
 だってだって、1年棟に平気で上級生が来るのは如何なものだろうか。

 席が隣の男子と漸く打ち解けられた頃、女友達は両手で数えられるくらいには増えていた。仮入部期間の3日目、私は興味本位で体育館を覗きにいった。

 バスケットボールというスポーツに興味は湧きそうにない。どちらかといえば家系は野球関係で、現に私の叔父は某野球チームの4番打者であり送球の速さは日本一と呼ばれる人物だ。それにそれに、私の姉は元野球部マネージャーで私の兄は高校生、現役野球部だ。
 従兄はサッカー部に入ったというが、つまりは私の家系は基本野球一筋である。私の母と父の出会いは野球部なのだから、不思議なものだ。

 私は野球部マネージャーをしようかと迷っていたのだが、誰ひとりとしてやろうとしない為、一人というのはあまりにも寂しく、男好きとも思われたくない為に他の運動部を見て回っている。
 仮入部期間はどの部活もお試しでいけて、基本的に1日1部だ。気に入った部活にずっと行くのもよし、全部つまみ食いするのもよし。
 体育館へ友人数人と出かけて、まず目に入ったのは男子バスケットボール部だった。まず、髪色がカラフルだから。脇で記録を取るマネージャーらしき先輩も、ピンク色の髪をしている。校則違反じゃないのかと悩んでいると、隣に居た友人がきゃあっ、と騒いだ。

「黄瀬先輩……!」

 目をハートにする友人の視線の先には、青い髪の人と同じ動きをしている黄色(金髪?)の髪をした人だった。
 何だ、なんなんだ。

「亜美ちゃん知らないの? 黄瀬涼太っていって、現役モデルなんだよ! かっこいい!」
「……モデルがバスケやってるのか、へえ」

 雑誌とかそういうのに興味の無い私は彼を見ても何とも思わない、思えなかった。イケメンとかそういう部類には入るのだろうが、残念ながら私は情熱的な、そういう"黒髪"の男が好きなわけだ。その考えも吹き飛んでしまうのだけれど。
 どうしようかと男子バスケ部に背を向けようとしたところで、不意に誰かとぶつかる。すいません、と言いかけて見上げた先には赤い髪。左右で色が違う、冷たい目が私を見下ろしている。
 何とも言えない恐怖と焦り。どうしようどうしよう、とぐちゃぐちゃになる頭、薄らと涙が浮かびそうになった頃、彼は私の顔に気付いて困ったように苦笑を浮かべた。

「ごめんね、目付き悪かったかな。怒ってるわけじゃないよ。……もしかしてマネージャー希望だったりする?」
「あ、え、」
「もしそうだったらちょっと見学してて。部活後に仕事、教えて貰えると思うから、」

 そう言ってぽんぽんと私の頭を撫でる(初対面の人にこんなことされるとは、)赤髪の人は、練習に戻るらしく離れていく。けど、最後に私を一瞥した瞳は僅かに冷たい色をしていて、ぞくりと身震いした。それと同時に、——何故か、綺麗だな、とも思った。俗にいう一目惚れかもしれない。大丈夫、と尋ねてくる友人に力なく笑って、私はドクドク脈打つ胸を押さえた。






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