№0 プロローグ 細かい霧のかかる森を、一人の人影が動く。 黒い外套を羽織り、ローブで顔を隠しているので、老若男女は わからない。しかし、体の線から見ると女性のようだ。?「……この先か」 呟いて空を仰ぐ。ローブが少しずれ、美しい碧色の髪がこぼれた。 まるで海の様な蒼さを誇っている。しかし、まだ顔は見えない。?「…進むしかない」 肩掛けにした荷物を揺らして持ち直すと、また前を向いて歩きだす。 もう、何も呟かなかった。