二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 転生ばっかですが文句ある!? [D灰] ( No.2 )
日時: 2012/07/27 23:10
名前: 魔堂 (ID: ADUOsQyB)


[転生編 01.新世界]



「レオお兄ちゃーん!! レーオーおーにーいーちゃーん!!」

「ふ、わ〜あ……。おあよ〜……ルナ〜……」


 彼の少年が転生して7年——レオ・シャーリーは7歳になった。
 “ルナ・シャーリー”は、レオ・シャーリーの2歳下の妹である。もっとも、レオよりもしっかりしているのだが。
 おれんじ色のぼさぼさの頭をかきながら、レオはどっこらしょっと起き上る。
 ここはイギリス——その一町にレオは生まれついたのだった。


「ルナ……、これ、何だ??」


 一言。——ルナ・シャーリーは料理が下手くそである。
 レオの前に現れた“料理”と言えるか分からない物をレオは見つめた。
 おれんじ色の腰まである長い髪を持つルナは、むぅっと可愛らしく頬をふくらませ、上目遣いでレオを見た。
 レオはそんなルナを苦笑しながら見つめる。


「……朝食」

「……この真っ黒焦げ焦げが朝食か」

「じゃあ食べなくていいよぅ!!」


 うがーーーっっ!!!と叫びながらルナは自分の作った黒焦げを口に入れて行く。
 レオはドン引きした表情でルナを見つめつつ、とばっちりを食らわないように少しずつ間をあけて行った。


(ぜ、ぜったいあれ死亡パターンだな……)


 1度外に出たレオは、憎らしいほど青い空を見上げる。
 この世界に来たが、“イノセンス”らしきものは全く見つからなかった。早朝の体操(首をボキボキ言わせる)をしながら、のんびりとレオは考えた。


(せっかく来たってのに、何のおとさたもなしかよ……)


 首が最大限にボキッと言った瞬間、家の中からも物凄い音が聞こえた。
 たぶんルナが死んだのだろう。料理が不味すぎて。が、レオは、何も悪くないと自分に言い聞かせてやった。


「さってと!! 今日も無難に過ごしますかー!!」


 生きられるのは最高だなー!!とレオは叫びながらいつもの郵便配達の仕事に向かおうと急いだ。
 新聞配達をしてお金をもらう。これで何とかレオとルナは生活している。
 母はいない。母親は交通事故で亡くなったのだ。父親は——その母親が亡くなってから、ずっと状態がおかしい。
 食欲、気力、生気——その全てがないのである。ずっと家内で椅子に座り、ぼーっと窓から外を眺めているだけだった。


(大丈夫かな……。まいふぁざーは……)


 配達に行く前に様子を見に行こうと思い、レオはもう1度家に入る。
 父親の部屋の前に立つと、軽くノックをし、中に入った。
 いつも通り——本当にいつもどおり、父親は外を見ていた。トレイにおいてある食事には全く手をつけていない。やはり、様子がおかしかった。


(母さん死んで、すげぇ辛そうだったからな……)


 いくら転生者で本当の父ではないとしても今は自分の父親だ。
 レオは少しだけ笑みをこぼした後、いつも通りの明るい声で父親に話しかけた。


「父さん、まーたご飯食べてないじゃん!! ちゃんと食べねぇとよくなんねぇよ??」

「……アァ。スマナイ、レオ。イマ……オナカ、イッパイナンダ」

「なーんでだよ、何もくってねぇのに」


 ケラケラとレオは笑いながら、父親の肩を持つ。
 外をじっと見つめ続ける親の横顔をじっと見つめた後、悲しそうに微笑んだ。


「父さん……。頑張ろうな、絶対元気になれるよ!」

「……アリガトウ、レオ」


 

 そのままレオは仕事へと出かけた。
 ——コの時、レオは事ノ酷さニ気づイていナカった。