二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 負けません。 (黒子のバスケ.) +参照400突破感謝!!! ( No.17 )
日時: 2012/08/08 23:52
名前: 悠希 ◆YLdWB0/d2s (ID: MYfQsgeG)

 
 海常vs誠凛。誠凛は一度は危うくなったが、黒子、火神、麗也の3人で逆襲をかけ始めていた。
 麗也にはあれ以降2人のマークがついてきたが、なんとかそれをもぬけていた。が、そんな時——。


 「——黒子!!」


 ——黄瀬の手が、黒子に直撃した。


 @第10Q.これでも一応“7人目”だから


 「くろ…っ……黒子っ!!」


 麗也は慌てて黒子に駆け寄る。ふ、とあげられた黒子の顔には——血が流れていた。
 右目が血によって閉じられている状態である。思わず麗也は息をのんだ。


 「おい黒子?! 大丈夫か?!」
 「…っふらふらします……」
 「——大丈夫かよ?!」
 「っ…大丈夫です。まだまだ試合はこれからで——、」


 そこまで言って黒子は倒れた。
 
 
 「「「黒子ぉぉーっっ!!」」」


 ギョッとして麗也、火神、日向の3人は叫んだ。
 とりあえず治療である。慌てて黒子をベンチに運び、由梨が治療を始めた。


 「——で、どうする」
 「…黒子君はもう出せないわ。水戸部くん、準備して。それと、黒沼君、火神くん。……行ける??」


 汗を拭いながら麗也は火神を見た。
 そして互いに見つめあい、——うなずいた。


 「……行けます」
 「余裕っすよ」
 「…そう。黒子君がぬけたからまた苦しくなると思うけど、頼んだわよ」
 「「はい!!」」


 ——ゲーム再開だ。
 ボールは海常だ。麗也はマークが厳しい中で、必死にくらいついていく。


 (流石にちょっときついか……っ。黒子いなくなったからって、調子に乗ってんな——っ??)


 荒い呼吸を繰り返しながら麗也は思った。
 が、負ける麗也でもない。足は速いほうだ。即座に2人から抜け、パスカットをする。


 (——よしっ)

 「かがっ——、」


 ——火神にパスを回そうとした、…が、きっちりマークが付いていた。
 はっ、と麗也は笑い、いつもより深く腰を下ろした。


 「なっ?! そんなとこから——っ」


 麗也の立ち位置はコートの半分よりもう少し行ったところである。
 そして——ばねのように軽く麗也は飛び、ボールを放つ。黄瀬は驚いていた。


 (中学時代——沼っちはあんな所から入らなかった)


 パスッ——と、静かにボールはゴールに入った。


 (沼っちも、やっぱり、進化、してる——っ!!)

 「っしゃぁっ!! ナイッシュー黒沼ぁっ!!」
 「スリーナイスーッ!!」


 ふ、と黄瀬は麗也と目が合う。
 麗也は——楽しそうに、笑っていた。


 「涼。俺だってこれでも一応キセキの世代の“7人目”だから。——進化するんだよ」
 「————っ…さすが、っすね……!!」


 黄瀬も麗也を見つめながら笑った。


 *


 「同、点————っ」


 今の状況に海常のメンバーは絶句していた。
 麗也は手を膝につき、必死に呼吸を落ちつかせていた。


 (や、ばっ——!! ちょっと、やり、す、ぎたっ……かっ…?)


 はぁっ、と深く呼吸をする。
 そんなとき——2つの拳がだされた。ふ、と麗也は顔を上げる。


 「——あと少しです。頑張りましょう、黒沼君」
 「——まだへばるには早えよ。完全にあいつらぶっ潰すぞ」


 黒子と、火神。麗也は顎にたれてきた汗を拭い、もう一度深く呼吸する。
 そして、いつも通りの笑顔を見せて、2人と拳をぶつけた。


 「つか……黒子、大丈夫なのか??」
 「大丈夫です。それより——白川さんからの伝言で、」
 「後でききますっっ!!」


 速攻で麗也はとめ、ポジションに戻った。黒子と火神も顔を見合わせて笑ってから、ポジションにつく。
 その時——3人は黄瀬のオーラが変わったのを感じた。瞬間、黄瀬は笠松からきたボールを取り、走り出す。


 「——っ黒子!!」
 

 黒子がボールを奪おうと手を伸ばすが、とっさに黄瀬はボールをつく手をかえる。
 そしてそのままゴールへ向かい——ダンクを決めた。


 「——俺は負けねぇっすよ。……誰にも。黒子っちにも、黒沼っちにも!!」


 強い瞳だった。麗也は笑みを消して見つめ返す。
 そして、再びハイスピードなゲームが始まる。点の取り合いだ。


 (またかよ……っ!!)


 ——火神が決める。
 ——黄瀬が決める。
 ——麗也が決める。


 (——91対、93!!)


 ——海常のボール。
 ——誠凛のボール。
 ——海常のボール。


 (——98対98!! ——同点っ!! でも…時間がない!!)


 麗也は走り出す。そんな時、黒子が麗也と火神を呼びとめた。
 黒子の戦法——黄瀬にコピーされず勝てる方法。それを聞いた2人は頷いて走り出した。


 『作戦といっても単純ですけど——ブザービーターで決めちゃえばいいんです』

 「火神、黒子っ!!」


 火神と黒子がボールをカットに行く。黄瀬もそれについていく。
 攻防戦の中で——麗也は丁度いいポジションに立っていた。


 『1番シュート率がいいのは黒沼君です!! 黒沼君は、僕がパスを回しやすい位置にたっててください!!』

 (頼む、黒子、火神——!!)


 そして——素早いパスが回ってきた。麗也の目が見開かれる。
 黄瀬が、この素早いパスについてきた。


 「っりょ……っ!!」
 「俺は——負けねぇっす!!」
 「——っ!!」


 飛び上がった麗也のフォームが崩れる。が、まだ飛び続けている。
 


 「——黒沼ぁッ!!」
 「——黒沼くん!」
 
 (…せめて……っ!!)



 「————っ!!」


 その崩れたフォームのまま、麗也は渾身の力を振り絞ってボールを放った。
 そして——叫ぶ。


 「火神!! ————走れっ!!」
 「————なっ…!」


 ブロックに入ってきた黄瀬が小さく声を上げた。
 麗也は目の前の黄瀬に向かって——小さく笑って見せる。


 「最初に言ったよな。——なめんな、ってよ!!」


 フォームを崩された状態でも、麗也はシュートができるといえばできる。
 だが——もう、そんな気力はなかった。
 “喘息”——それのせいで体はだいぶ重く、少しでも油断をすれば、咳が苦しいほどにでそうだった。
 

 そして——火神が勢いよくダンクを決めたと同時に、笛の音が鳴り響いた。


 *


 「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ————、」


 練習試合は誠凛の勝利である。
 ——が、麗也は海常の校舎の陰で壁にもたれながら、目を極限まで見開き、必死に呼吸をおさえようと頑張っていた。
 ずる…と体が落ちていく。


 (調子に、のりすぎた、かな。最近、全然、大丈、夫、だったから、安心、してたん、だけど、な——)


 深呼吸をしながら、麗也は目を閉じてさらに落ち着こうとする。
 そんな時、足音が近づいてくるのがわかった。

 
 (……誰、だ?)


 目をあける気にもなれず俯いたまま、咳がでて苦しくならないように呼吸を落ちつける。
 ひどければ発作状態になる。そして——足音は、すぐそばで止まった。


 「え……? 沼、っち……?」


 片目だけ開けて見れば、目が赤くはれた黄瀬がいた。そういえば悔し泣きをしていた、と麗也は思った。
 現状整理ができたのか、黄瀬は目を見開いてかけよってきた。


 「黒沼っち!! ちょっ、やっぱり……!! ——マシになっただけだったんじゃないっすか!!」
 「は、はは……。お前、は、ほんと、過保、護、だな……」
 「んなこと言ってる場合じゃないっすよ!! 喘息…っ!!」
 「だ、いじょ、ぶ。まだ、過呼吸、じゃ、ない、し。……っ!!」
 「それでも苦しそうっすよ?! だーもう!! ほんと、昔っから無茶しすぎっすよ、もう!!」
 「———お前は、親か……」


 それでもやはり1人じゃないのは安心する。
 麗也は、だんだんと呼吸が落ち着いていくのを感じた。


 *


 優しい黄瀬。中学時代から黄瀬は麗也の親です。(笑)
 いや、友人思いすぎて必死で心配してくれてるんですね。
 こんな時間に投稿って初めてです;;
 遅くなり申し訳ございません。
 そしておやすみなさい(´・ω・`)