二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 負けません。 (黒子のバスケ.) +参照1000突破激感謝! ( No.27 )
日時: 2012/08/26 00:05
名前: 悠希 ◆YLdWB0/d2s (ID: /Pgfhgg6)

 「あ、黒沼君。由梨知らない?」
 「由梨ですか? 俺も探してるんです。見つけ次第伝えますよ」
 「そ。頼んだわね!」

 
 @第18Q.頑張らないとね!


 (全く……由梨の奴、どこにいるんだ?)


 試合も無事終了した翌日のこと。
 麗也は少し急ぎ足で由梨の姿を探していた。少し私情で聞きたいことがあるのだ。


 (ずっと姿が見当たらないからな……。あれ?)


 少しだけドアが開いている部屋。そこから音が漏れている。
 音をひそめて近づけば、そこには探していた栗色の髪の人物が座ってテレビを見ていた。


 (なんだ、これ? ……正邦?)


 少し流れればとめ、戻し、また流す。それの繰り返しだ。
 よほど大変なのか、眼鏡をかけた由梨は真剣にノートに何かを書いている。

 
 「ん……っと。あれ、麗也?」
 「あ…ごめん、邪魔……したか?」
 「ううん、大丈夫よ」


 眼鏡をはずしながら由梨はにこっと微笑んだ。
 まだ途中の映像を見て、一旦片づけをしている由梨に声をかける。


 「まだ途中だけど、いいのか?」
 「うん。また放課後やろうかなって思ってね。それより、私に何か用事があったんじゃないの?」
 「あ、まぁな。……緑間のシュートさ、お前はどう思った?」


 そう尋ねれば、由梨はぴたりと動きを止める。
 そうだね〜、と少し考えるそぶりを見せた後、麗也に1冊のノートを手渡した。


 「これ。一応、なのだよに関してとった一部のデータ」
 「え? 見ていいのか?」
 「うん。私の考えもちょこちょこ入ってるから気をつけて」
 「気をつけてってなんだよ。あ、あと、監督が探してたぞ」
 「了解。すぐ行くね」


 麗也は微笑んで由梨を見つめた後、まじまじとノートを見たのだった。


 *


 「シュート範囲が異常に伸びている……か」


 その範囲はコート全域の可能性あり——と書かれた一行。
 女子らしい小さな字でつづられたノートに、麗也は小さく微笑んだ。


 「防御は……へぇ、さっすが由梨」


 楽しそうな声だけども真剣な顔で、麗也は一ページ一ページ丁寧に捲っていったのだった。


 *


 今はバスケ部全員で正邦対北和田の試合を見ている。
 そして昨年正邦に負けた先輩方一同は一斉にため息をついた。


 (……あのディフェンス、なんっか違和感感じるんだよなー……)


 麗也も首をかしげながらそれを見終える。


 「……わかっていた事だけど、正直やっぱ厳しいな……」
 「ってか……また泣きたくなってきた……」
 「ハッキリ言って正邦、秀徳とも10回やって9回負けるわ。でも、勝てる1回を今回もってくりゃいいのよ」
 「…………あのさ」


 静かに日向が切り出した。全員がそちらを見る。


 「作戦…ってほどじゃないけど……1つ思いついた」


 *


 「……由梨?」
 「あれ? 麗也、早く帰らないと。明日試合だよ?」


 にこにことほほ笑んで言う由梨。
 そんな由梨に、麗也はノート片手に微笑み返した。


 「お前だってマネ業忙しいだろ」
 「麗也の方が大変じゃない?」
 「俺はいいんだよ。由梨はずっと頭働かせっぱなしだろ? お前も早く帰らねぇと」
 「…………うん、そうだね」


 少し嬉しそうな表情をして、由梨は麗也の元へ寄ってくる。


 「じゃ、一緒に帰ろう!」
 「勿論。だから待ってたんだよ」


 のんびりと2人は歩きながら明日の事を考える。
 お互い無言である。だが、麗也はこの空間は嫌いではなかった。——試合前に集中する、大事な時間だ。


 「……データの整理はできたのか?」
 「……うん。明日試合前に言えるかなーって。頑張らないとね!」
 「……大丈夫か?」
 「喘息持ちが何言ってんのよ。私なんて大丈夫だって」


 けらけらと由梨は明るく笑った。


 「麗也……、明日の2連戦、無理…しないでね?」
 「……わかってるよ」


 優しい笑みを麗也は見せる。由梨も安心したような表情を見せた。


 「ま、と言ってもあんたは聞かないけどね?」
 「んなことはねぇって! 素直ですから!」
 「あ、自分でいいやがったぞこのばか沼君は!」
 「ばか沼君って何だよ?!」


 互いが互いの緊張をほぐしあえる。
 そんな存在がいて、2人は本当に良かったと思えたのだった。


 *


 今回は基本麗也と由梨です。黒白コンビ。
 次回から本戦に入っていけたらなー……と思います。
 読んでいただき、ありがとうございました!