二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 負けません。 (黒子のバスケ.) +参照1500突破激感謝! ( No.37 )
日時: 2012/09/06 22:11
名前: 悠希 ◆YLdWB0/d2s (ID: OP8rm8tJ)



 『なぁ、黒子。緑間のシュート封じに関してなんだけど……』
 『……奇遇ですね。僕もそれを話したかったんです。それに——』


 @第25Q.ホークアイ


 緑間にボールが渡る。その瞬間、黒子はゴール下へと走り出した。
 それを見て緑間は他へとパスを出す。——作戦通りの状況に、麗也は微笑んだ。


 (シュート打った瞬間、超高速パスがカウンターでぶった切るからな……)


 が、麗也は今緑間以外に1人気になる選手がいた。
 ドリブルをする音が体育館に響く。麗也はその発信源の相手を見つめた。


 (——高尾くん、……だっけか)


 麗也が内心でその名を呟いた時、秀徳の監督から指令が飛ぶ。


 「おーい高尾、木村。マークチェンジ。……高尾、11番につけ」
 (11番11番……ああ、黒子か。なるほど、黒子にマークチェンジで高尾くんか。あぁ、高尾く……)


 ——ちょっと待て、と麗也の動きが止まる。
 トイレに行った時、高尾は黒子に気付いた。それに“先ほどから感じる”動きの違和感。
 見えないはずの所でも、高尾は余裕でボールを回している。


 (それって……もしかして——)


 はっと麗也は黒子を見る。丁度今、パス回しをしようとしている。
 

 「待て黒子! とられ——」
 「残念! そして気づくのちょっと遅かったな、黒沼クン!!」


 ——そのパスを、高尾が遮った。
 影の薄い黒子ならではの、ミスディレクションを利用したパス回しが。
 そのままシュートを決められる。


 (って……由梨、伝えてなかったのか? 珍しいな、気付かなかっ——)


 ふと視線を由梨に巡らせ、麗也は“違う”と内心でつぶやいた。
 平静を装っている。が、違うのだ。試合を見ているのがやっとの状態なのだろう。伝えるのも、本当に苦しい中で。


 (全く……。無茶しすぎなのはどっちだよ!!)


 そんな時、誠凛がタイムアウトを要求した。
 椅子に腰かけた麗也に——一気に疲労が襲いかかってくる。思わず麗也はむせそうになる。


 (やば……。気ぃ抜いたら、終わりだな……)

 「……黒沼君」
 「黒子……。あれ、正直言って驚いただろ?」
 「……はい」


 本当に困っているようだ。麗也も小さく笑う。


 「“ホークアイ”。コート全体を見回せる視野を持ってる」
 「……由梨、」
 「じゃあテっちゃんにちょっとヒント」
 「ヒント……ですか?」


 うん、と由梨は微笑んだ。全員が由梨を見る。
 由梨はまっすぐに黒子を見つめ、優しい微笑みのまま言った。


 「視野が広いんだったら、逆に“視野を狭めてやれば”いいんだよ」
 「視野を……狭める……?」

 (ああ……。なるほどな……)


 瞬時に理解した麗也は苦笑して、隣の黒子を見る。
 黒子もなんとなくのようだがわかったようである。こくりと頷いた。


 「ありがとうございます、白川さん」
 「いえいえ。あと、麗也。相手のマークがちょっと緩んでる。から、今3Pシュートの攻め時」
 「了解」
 

 ——いつもの由梨の笑顔。
 見ていた全員が安心した。タイム終了を告げる音。勢いよく全員が立ち上がった。


 「マネージャーにあんな顔色になるまで労働させといて……負けらんねぇよなぁ!!」
 「「「おう!!」」」


 その言葉を聞いた由梨は、リコと顔を見合わせ、微笑んだのだった。


 *


 マネージャーもチームの一員(・ω・`)
 ちなみに由梨ちゃんの顔色が悪いのは、皆の為に試合まで働きまくりました。
 疲労が重なりますが情報整理の為睡眠できず。
 そんな由梨の働きも全部みんな知ってます。
 
 
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