二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 負けません。 (黒子のバスケ.) +参照2000突破激感謝! ( No.54 )
日時: 2012/09/19 22:21
名前: 悠希 ◆YLdWB0/d2s (ID: qgDGZVdh)


 
 +++++

 >>茅

 面白いって言ってくれてありがとう!
 自信なかったから嬉しいよ(^ω^)
 赤司早速登場! 一応麗也の1番の理解者だからね(笑)

 >>ルリ朱雀&様

 赤司はすぐ出す予定だったので(・ω・´)
 麗也と由梨もまだまだ幼いころです(笑)
 ありがとうございます! 頑張ります!

 +++++


 寝息をたてている麗也の顔を、花重はただ黙って見つめていた。
 そして悲しそうに目を伏せた後、静かに病室を出て行った。

 @第31Q.信じてください


 再び意識を覚醒させた麗也は、見舞いに来てくれた誠凛メンバーに目を見開いた。


 「……全員揃ってるんですか」
 「嫌、俺は言ったんだぞ? 黒沼にも迷惑だってよ? だけどこいつらがな——」
 「嘘つくな日向。全員で行くぞーって言ったの誰だよ」


 室内に明るい笑い声が響く。麗也も由梨も、リコも笑った。
 だが……やはり、全員気にしているようだ。しん、となれば、重い空気がのしかかる。


 「…………えーっと」
 

 麗也は何とかその空気をおしのけようと、明るい声を出す。
 それを見て、黒子も場の空気を変えようと声を出す。


 「黒沼君、いつ退院するんですか?」
 「——って黒子お前いたのかよっ?! ……黒沼気づいてたか?」
 「えぇ、まぁ」
 「っはは、流石だな」
 「あ、それで、いつ退院するんだ?」


 そういえば聞いてなかった、と麗也は内心でつぶやいた。
 だが、麗也的にはもう本日退院したいくらいである。それに余計な心配をかける訳にもいかない。


 「多分……今日か明日の早朝に」
 「うおお!! じゃあ試合出れんじゃん!! 無茶はしない程度にだけど!!」
 「そうですね」


 いつも通り。いつも通りの笑みだった。周りは明るく笑う。
 それでも……黒子と火神、由梨に日向はただその笑みを険しい表情で見ていた。その時。


 「あぁ……お見舞い」
 「あ……花重先生」


 花重が険しい顔をしながら病室に入ってくる。
 白衣をひるがえし、花重はにっこりとほほ笑んだ。その優しい笑みに惹かれるメンバー。


 「ごめんなさいね。ちょっと今から黒沼君とお話したい事があるから、ちょっと席を外してくれるかしら?」
 「あ……じゃあ俺らは帰るか? じゃあな、黒沼ー!」
 「また明日なー!!」


 全員が病室を出ていく。そして、花重と麗也はじっと見つめあった。
 白衣のポケットに手をつっこんだまま、花重は瞑目して、静かにきりだした。


 「君に、一つだけはっきり言っておくわ」
 「………………」


 嫌な予感がして、麗也は思わず眉をひそめる。花重はゆっくり目を開けると、迷いなく言った。


 「次の試合に出るなんて事は、絶対無理だと思いなさい」


 ——麗也の瞳が見開かれる。と同時に、重い物が麗也にのしかかった。
 花重は小さくため息をつき、しっかり麗也を見ながら話をただただ続けた。


 「今の君の体の状態は、凄く不安定よ。試合に出る以前に……アップ等だけでも、簡単に崩れるでしょう」
 「…………でも、絶対出たいんです。ここまでやってきたんだ。こんなところで——」
 「負けたくない、ってのは分かるわ。でもね、はっきり言わせてもらうと」


 一拍置いて、花重は言った。


 「バスケットボールなんて、もうやめた方がいいと思う」


 ■  ■  ■


 花重が病室から出て行き、扉の閉まる音がやけに大きく聞こえた。
 病室から出た花重は——壁にもたれて、小さく震えた。


 (ごめん……ごめん、黒沼君)


 あんな事を本心で言っている訳じゃない。本当は凄く応援したい。
 だが、花重は一人の女性であると同時に、人の体を守る医者なのだ。——麗也にもう、苦しい思いをしてほしくない。
 そんな思いが一番強かった。


 「……あの」
 「————っっ?!」

 「今の話……本当ですか?」


 目の前にいても気づけなかった相手に驚きつつ、花重は眉をひそめた。
 そしてその後ろから現れた二人に、少しだけ肩の力をぬいた。


 ■  ■  ■


 「忘れ物しました」
 

 いきなり開いた扉に麗也は目を点にする。立っていたのは黒子。
 はははと乾いた笑みを浮かべ、麗也はそっかと返事した。


 「もう皆帰ったのか?」
 「はい。あ、でも…………」
 「——おい黒子ー、とっとと帰んぞー」
 「——つか余裕で忘れ物するな、だぁほ」


 火神と日向が待っているようだ。麗也は近くに置いてあった黒子の私有物を渡す。
 もう帰るんだろうと麗也が思った時、黒子が足をとめた。

 
 「……すいません、黒沼君」
 「え?」
 「聞いてました、……さっきの話」

 「————!!」


 思わず顔を強張らせる麗也。日向と火神も聞いていたようだ。


 「……あー!! んっだよ、マジ!!」
 

 日向が叫ぶ。三人はそちらを見た。
 日向は麗也を真っ直ぐに見つめ、親指をたてて自分を指差し、叫んだ。


 「確かにお前がでれねぇのはすんげぇいてぇ!! でもなぁ……俺らを信じろ!!」
 「————!!」
 「ぜってー勝つ!! でもって……ぜってーお前はバスケやめんな!! 次の試合で戻ってこい!!」
 「…………キャプテン」


 バスケをやめた方がいい——そう言われた時、確かに世界が暗くなった。
 それでも、日向は信じている。麗也は絶対バスケをやめないと。そして次には戻ってくると。


 「なんつー顔してんだよ。はっ、青峰だか何だかしんねぇけど、ぜってー倒してきてやるよ!!」
 「…………火神」
 「……そうですね。——黒沼君」


 黒子が麗也を呼ぶ。黒子を見れば、力強い表情をしていた。


 「必ず勝ってきます。———信じてください」
 「でもって、次の試合に出れるようにしっかり調整しとけ!!」
 「ってかマジなんつー表情してんだよ、だぁほ」


 三人の力強い言葉。麗也は目を大きく見開き、俯いた。
 そして、小さな声で。本当に小さく掠れている声で、返事をした。


 「……信じてます」


 その言葉に三人は力強く頷いた。
 ————三人が帰り、静かになった病室。まだ俯いたままの麗也。


 「…………」


 ポトリと、布団に小さなシミができる。
 きつくきつく布団を握りしめ、歯を食いしばりながら、静かに麗也は涙を流した。
 ただその感情にあったのは。



 (————悔しい)


 ■  ■  ■


 麗也にも“立ちふさがる壁”が必要かと思いまして。

 そんなときに支えてくれる仲間っていいですよね。←
 
 部活してても感じます(`・ω・´)

 次回。……キセキの世代のエース、登場します。