二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: サマーウォーズ 【漆黒の天才ハッカー】 ( No.12 )
- 日時: 2012/08/05 21:14
- 名前: ソウル (ID: 96KXzMoT)
【エピソード1】
サンサンと輝く真夏の太陽の下。
健二は駅の柱にもたれかかりながら、ぼーっと携帯を見つめていた。
ちなみに現在12時ぴったり。
夏希との待ち合わせ時刻より、30分も早く駅についてしまっていた。
「久しぶりに会えるからって……浮かれすぎだよな、僕」
健二はため息交じりに呟く。
自分に呆れたような口調だが、表情はにやついていた。
周りから見ればさぞかし怪しい人間だったであろう。
「お待たせ健二君!待った?」
それからきっかり30分後。
夏希がすそにレースのついた、白いワンピース姿で現れた。
振り返りざまに見たその姿に、健二は思わず目を見開く。
「あ、あの……」
「ん?なに?」
「それ……」
「服のこと?似合うかな」
夏希はワンピースのすそをつまみ、くるっと回ってみせた。
そしてキュッと目を細めて笑う。
途端に健二の顔はゆでだこのごとく赤くなり、その状態で縦にぶんぶん振った。
俯きがちに口を開く。
「は、はい!もちろんです!でもですね……」
健二は言葉を濁し、夏希の足元を指さした。
「それ……なんです?」
健二の言った《それ》
《それ》は夏希の足元に大量に置かれていた。
「ああ、これ?」
夏希は平然とした表情で《それ》に目を向ける。
彼女の視線の先には、大きな淡い水色のボストンバックと黒いボストンバックが置いてあった。
さらには、いろんな色にガラの紙袋まである。
「旅行鞄とお土産」
「……ですよねー!!」
健二は放たれた夏希の言葉に、思わず大きな声で言った。
去年も彼は、夏希の彼氏役であることを秘密にされていたのだが、まさかいきなり旅行になるとは……さすがに心の準備がなっていない。
「安心して!健二君のぶんも用意してあるから!もちろんパン」
「わーー!何言ってるんですか!」
ニコニコしながら話し出す夏希を、健二は両腕をワタワタとふりながら制する。
すると夏希は少し眉をよせた。
「健二君も私に嘘ついたでしょ」
「へ?」
健二はキョトンとした表情で聞き返した。
「お昼ごはん……食べてたくせに」
健二はギクッと肩を動かす。
そして苦笑を浮かべながら、夏希に問いかけた。
「なんで……わかったんですか?」
「話し方。なんとなくぎこちなかった」
夏希はそれだけ言うと、再びニッコリと笑った。
「まあ今回はもともとサプライズにしようとしてたの!実家に健二君連れてくとみんな喜ぶし!」
こうして健二はまた、陣内家へと向かうのだった。
ある事件に巻き込まれるとも知らずに……。