二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ〜過去の天才〜(1Q執筆中★) ( No.9 )
- 日時: 2012/07/28 15:58
- 名前: ハルはる (ID: kM82Y1ex)
第2Q 『あたしとバスケ』
時は春。
桜が満開になった頃。
「♪〜♪〜」
スクールバックを肩にかけた少女が軽い足取りで廊下を歩いていた。
ふと、少女の足が止まる。
「バスケ・・・」
目線の先には校庭に設置されたバスケットゴールと、そこで騒ぐ男子生徒。
悲しそうに目を伏せると、少女は小走りでその場を去っていった。
「今日から新しくこのクラスの仲間になる子を紹介します。さ、入って。」
ガラッと教室の前方の扉が開き、胸辺りまで伸びた栗色の髪を揺らしながら少女が入ってきた。
生徒の方を向き、ニッコリと微笑む。
「白崎杏奈です。よろしく」
ごく普通の少女に見える。
でも、バスケをやっている人には普通の少女ではないことは名前で分かった。
・・・東京都、森崎中学校に白崎杏奈はやってきた。
「つ、疲れた・・・」
休み時間中ずっと質問攻め。
やっぱり、偽名を使えば良かったと後悔してももう遅い。
「女バスに入るよね!」「白崎といえば男バスだろ」
バスケ部に入れ、という勧誘の嵐。
噂は一気に広がり、陸上部まで勧誘に来る始末だ。
「もう、バスケやるつもりないし・・・」
帝光に行かなかったのは、男子とバスケが出来ないから。
マネージャーっていう選択肢も考えたが、それはそれで辛い。
ならいっそのこと、全くの無名校に入っちゃえ。と思って森崎に来た。
でも、部活に入るのはやめた。
男バスに入ったら、当然大会であいつらと会うのは避けられない。
女バスに入ったら、手加減してしまう。皆もそれじゃあ嬉しくないだろう。
だからといって本気でやったら、きっと反則だとかって言われる。
そんなの、絶対に嫌だ。
陸上部に入るなんて気はさらさらないし。
必然的に、残されたのは高校生になるまで一人で練習する。っていう選択肢だけ。
高校のレベルは中学とは違う。本気を出しても大丈夫。
「早く高校生になりた〜い」
小さく呟き、放課後になるのを待った。
「この時間なら誰にも会わないでしょ」
帝光の練習は基本8時〜9時まで。
自主練があるから、キセキとは会わないだろう。他の奴らに会うことはあっても、あいつらとは会わない時間帯。
だから、よく帝光の時に使っていたストバスに来ている。
「さ、てと。」
ドリブルでもしよっかな・・・と、ボールをついた。
蘇る、過去の記憶。
息を切らせながら皆とボールをつないだあの感覚。
そして、お父さんのこと。
「っは、ヒゥッ」
息が出来ない。
苦しくて、ポケットの中の袋を取り出し口に当てる。
「っはぁっ」
いつもこうなる。
バスケをしようとすると最初はこうなる。
あたしがバスケ部に入らない、もう一つの理由。
涙が頬を伝い、乾いた地面に落ちた。