二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒子のバスケ〜過去の天才〜(3Q更新★) ( No.23 )
- 日時: 2012/08/02 15:57
- 名前: ハルはる (ID: r4kEfg7B)
第4Q 『初試合はまさかの・・・』
「皆!地区予選の対戦表が出たよ!」
もうそんな時期か、と一本だけショートを打って皆のところに駆け寄った。
皆なんか険しい顔つき。
「どうしたの?初戦の相手そんなにヤバイ?」
不思議に思い、対戦表を覗き込んだ。
上から、森崎の字を探す。
「ヤバイもなにも・・・帝光よ」
扇華が、そう言った。
嘘でしょ?咲のチームと?
前にメールしたときは全中優勝を狙えるチームだって言ってた。
アベック優勝するんだって・・・、そんなチームと?
「ないわ〜、いくら杏奈がいてもあたし達が帝光よりねぇ・・・」(あかり)
「勝てる気がしない」(胡桃)
正直、ヤバイ。
あたしの過呼吸だって、今は落ち着いてるけど、いつまた出るかは分からない。
それに・・・
この頃、足の調子が悪いんだ。
スリーも、一試合何回打てるか分からない。
・・・ってか、
「あいつらが来るっ、会いたくね〜〜〜〜〜!」
帝光女バスの試合は、自分達の試合が被らない限り応援に行ってた。
間違いなく会う。
「杏・・・言葉遣い」
「う・・・すいません。」
扇華に軽く睨まれた。
あ、今はもう皆のことを名前呼びしてます。
あたしもことは皆「杏」って呼んでる。
「あ、もうこんな時間?あたしもう行くね」
「あれ、扇華今日アレ?」
「そう。アレ」
アレって言うのは・・・扇華の家は特殊で、歌舞伎をやっているんだ。
たまに役者として出るらしくて、今日はその関係で練習には出ないらしい。
親が涼太の親と仲いいらしいんだけど・・・
世界って、狭いよね。
「有季、帝光のこと少し教えとく」
咲のプレイスタイル、気をつけなければいけない選手。
ただそれは去年の物だから、役立つかは分からない。
「咲はボールさばきが上手いの。そこはあたしより凄い。」
細かいボールの動き。一度1on1をしたことがあるから分かる。
ただ、それも去年の時点でのこと。
「帝光は、強いよ」
今年は近年稀にみる強さらしい。
あたしも、予想がつかない。
それでも、言える事が一つだけある。
「でも、チームワークはこっちの方が上」
これだけは、絶対に勝てる。
「ゆ、有季・・・あたし控え室に引きこもりたい」
やばい。帝光・・・あいつら勢ぞろいだ。
しかも応援の数パネェ!ずっと帝光側だったから分かんなかったけど・・・恐い。
「そんなのあたしだって同じだよ・・・何この応援の数」(有季)
「出たくない・・・」(あかり)
「なにでっかいくせにビビッてんのよ」(扇華)
「扇華、身長のこと言ったら怒るよ・・・?」(あかり)
「はいはい、ごめんなさいね。でも皆、あたし達にだって応援いるじゃない」(扇華)
見渡せば、『チームワーク』と書かれた横断幕の周りにベンチに入れなかった部員と、保護者。
数は圧倒的に負けてるけど。帝光にびびってるけど。
「・・・そうだね。じゃあ、円陣でも組む?」(有季)
そう言って、皆で肩を組む。
あかり、胡桃、扇華、有季、あたし。そしてベンチメンバー。
「絶対に勝って帰ろう。アベック優勝?そのなのぶち壊してやれ!」
有季が、珍しく声を荒げた。
そうだよ。帝光には負けたくない。
『おぉー!!』
胸を張って、会場に入った。
「・・・あ、」
あいつらがあたしを見て目を見開く。
涼太、言ってくれなかったんだ・・・
「白ちんなんで森崎にいんの?」
「何でだよ杏奈」
「白崎さん・・・?」
出入り口の真上にあいつらはいて、あたしはそこで足を止めた。
「杏?」(胡桃)
「先行ってて」
涼太は、嬉しそうだった。
あたしがバスケをやってないと思っていたからだろう。
「皆久しぶり〜元気だった?」
わざと、明るく振舞う。
「・・・あたしの足ね、もう男子とはバスケ出来ないの。だから帝光には戻んないよ」
ははっと笑って、頭を掻く。
泣かない。絶対に。
ふと、征十郎と目が合った。
「っ、征十郎・・・ごめんね。じゃ、皆待ってるから行くわ」
ごめん。ホントごめん。
視界が、歪む。
試合開始のブザーが鳴り響いた。