二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ〜過去の天才〜(8Q更新中★) ( No.50 )
日時: 2012/08/21 18:25
名前: ハルはる (ID: L9PtbysF)

ベンチに座り、皆を観察している。
相手は1軍の準レギュラーだが、やはりキセキの世代には遠く及ばない。
一つ一つの動きが綺麗だし、無駄な動きがない。

「やっぱり、凄いね皆」

「まぁ、問題は沢山あるけど」

「・・・そうだね。特に大輝・・・もうちょっとなぁ」

皆、1人で戦ってる感じ。
チームプレーなんだけど、個人プレーというか・・・

「ねぇ、涼太。一番大事な時、いい所にいる人にパスを出す?それとも、自分で行く?」

「ん〜。相手によるっスけど・・・たいていは自分で行くっスよ」

「そっか・・・」

2年の最後の全中を思い出す。
パスが滑らかに回り、チームプレイを大事にしたバスケ。
シュートが決まれば拳を合わせ、いいとこにテツヤからのパスがくればテツヤの髪の毛をグシャグシャにした。
皆の心が一つになって、見ていても気持ちいいバスケだった。

「・・・変えたい」

小さく呟いた言葉は、大輝のスーパープレイに湧き上がった歓声に掻き消された。











「杏奈ちゃん、スリーは多分相当警戒されていると思うから・・・、ムッ君にスクリーンしてもらったり・・・」

「おっけー。んじゃ、行ってきます」

真ちゃんと交代して、コートに立つ。
一瞬だけ体育館が静かになる。

1年が、コソコソとなにかを言っていた。

「杏奈、」

「20点かぁ・・・がんばるよ」

点差が凄い開いていて、もうあっちは戦意喪失気味。
なんで、あんな顔が出来るんだろう。
バスケ、楽しくないのかな・・・







結果はあたしたちの圧勝で、あたしもなんとかノルマは達成できた。
それでも、前のような感動はない。
楽しくなかった。

「最初から無理だったんだよ。あいつ等相手にかてるわけねー」

準レギュラーが言った言葉に、あたしは悲しくなった。同時に激しい怒りが込み上げてきて、ガンッと壁を思いっきり蹴った。

「仮にもバスケやってる奴がそれはないでしょ。最初から無理?ふざけんなっ」

「杏奈っ!?」(森崎中一同)

「最初から諦めてたら、勝てるものも勝てないんだよ!」

あぁ、森崎中でよかった。
帝光に戻ってこなくてよかった。


戻ってきてたら、もうバスケはやってなかっただろう。



「杏奈」



静まり返った体育館に征十郎の声が響き渡る。

「ここで言っておく。勝つことは全てに正しい。勝てばいいんだよ」

「なっ、」

「それと、お前じゃもう・・・キセキの世代には勝てない。
帝光のバスケを変える前に、お前のバスケを変えたらどうだ?」




もし、あの時アメリカに行かなかったら・・・

この変化を、止められていただろうか・・・?




・・・変えてやる。
あたし自身も変わって、絶対に皆のバスケを変える。




バックを掴み、体育館を飛び出した。


・・・そこからの記憶は、ない。
ただ、遠くで皆の声と車の急ブレーキの音が悲鳴に混じって聞こえていた。