二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ〜過去の天才〜(10Q更新★) ( No.90 )
日時: 2012/08/31 07:55
名前: ハルはる (ID: L9PtbysF)

特別編 『森崎中の柳君』




3年の、春。
俺が初めて白崎を見た時、校庭の桜は満開だった。

栗色の髪をなびかせた、可愛い女子だった。


名前は知っていた。帝光にとんでもない女子がいるって、雑誌でも何度か見たことがあった。

体育館の端からシュートをする天才少女。
中学最速。

いろんなオプションがついていた。

もちろん俺たち男バスも(おもに副部長が)勧誘に行ったのだが・・・


「あたしもうバスケやりませんから」


その一言。たった、一言。
でも時々校庭に設置されたバスケットゴールを見て目を伏せる白崎がいた。


(バスケ、やりたそうなのになぁ〜・・・)


雑誌でみた白崎は見るからに「バスケ大好き!」っていう顔をしてて。
それが印象的だったのに。
どうして、もうバスケをやらないのか。











「あ、」

バスケの用品を買い足しに、学校から離れた町に来ていた。
目についたのはストリートバスケ。
そこに高校生とバスケをする白崎。

「なんだよ。バスケしないんじゃないのかよ」

俺たち程度のレベルじゃやりたくないのか。
すこし、イラッときたのを覚えている。


明日にでもなんか言ってやろうと、その場を後にしようとした時だった。


「大丈夫かっ!?」


白崎が倒れたのだ。
正確にいうと、うずくまっていた。だが。

「なにやってんだ」

少しだけ心配になって、白崎の元に行こうとした時だった。


俺の横を黄色い頭の奴が走っていった。
キセキの世代の・・・モデルの黄瀬涼太。すぐに分かった。


「杏奈っち!」

「涼太・・・?」

遠くから眺めていた。
声は聞こえないが、白崎が涙を流してこちらに走ってくる。


「ごめん・・・涼太」


俺の横を通り過ぎたとき、そう言っていた。






(続く)