二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマGO 金色の懇願姫 ( No.19 )
日時: 2012/08/05 19:21
名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: dD1ACbVH)

五つ目の御話   「喜びの裏側」













「つっつつつつ、月川さんって、
 ああの、銀色のうう歌姫!?」

「落ち着け、少年よ。」


和奏はあきれ顔でマサキの方を見る。


「あぁ、私が銀色の歌姫だ。
 言ってなかったっけ?」

「そんな衝撃発言、はじめて聞きましたよ!
 それに、銀色の歌姫って覆面歌手じゃないですか!」

「あ、そうだった。
 顔は見せてないんだったっけ。」


和奏は、けろりとした表情で言った。

——案外この人、いろいろと駄目なのかもしれない。


「まぁまぁ、別にいいじゃないか。」

「そうだよ、狩屋君。」


二人に抑え込まれ、少しふくれっ面な表情になりながらも、
マサキは静かになった。

しばらくして、マサキは何か思いついたように、「あっ」と声を上げた。


「? どうかしたのか?」

「あの、月川さん!
 俺の知り合いの人に、和奏さんの事を言っていいですか?」

「いいけど…、どうしてだ?」

「貴方の、ファンがいるんです!」


そう言ってマサキは、図書館へと向かって行った。





          *      *      *





「えっ、銀色の歌姫さんが来てるんですの!?」

「そうですよ。
 中学生の時は、ここの学校だった見たいで。」


マサキは図書館に来て、和奏の事を架那琥に伝えた。


「そう、なんですの…!
 あの歌姫さんが、ここの学校に……」


架那琥は、心底うれしそうな表情をした。
その表情を見て、マサキは微笑んだ。


「会いに行きますか?」

「え?」

「今日は多分、忙しいと思うけど…
 これからはずっと、ここら辺にいるらしいので、明日にでも会えると思いますよ。」


すると、架那琥の表情が、パァっと明るくなった。


「本当ですの!?
 ありがとうございますわ、狩屋君!」








          *      *      *






「今日は、いいことしたなぁ…」


マサキは、今日の架那琥の嬉しそうな表情を思い出して、
ふふっと笑った。


「…というか、月川さんってなんでこの街に来たんだろう…
 前に住んでいたっていう理由もありそうだけど…」


すると、突然後ろから声が聞こえた。


「気になるか?」

「うぁた!?……月川さん」


後ろにいたのは和奏だった。


「その事について、教えてやろう。
 私も、お前に聞きたい事があったからな。」

「は、はぁ……」

「それじゃあ、喫茶店にでも行くか。
 こんな道端じゃあ、話しきれないからな。」