二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマGO 金色の懇願姫 ( No.28 )
日時: 2012/08/15 18:15
名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: ORcIy8rh)

七つ目の御話  「傍若無人」













  ——願いますか?


「助けて…、誰かぁ……ッ。」



  ——助けますか?


「……殺して。そんな物だったら、死んだのと同じだもの。」



  ——殺しますか?


「あははぁ…、なぁんだぁ。
 感情って、意外と簡単に殺せちゃうのね。」



  ——叶えましょう。








         *      *      *








マサキは、お日様園に戻ってからずっと考えていた。


——くそ、なんだってんだよ…ッ!



『悲しい話だよな。』

『悲しい話だよ。
    誰にも覚えてもらえないっていうのは。』

『懇願姫と私は、似ているからな。』


マサキは、和奏の言っていた事を思い出していた。


「何だよ…ッ、一体何が——!」



すると、ドアのノックが聞こえた。

「狩屋、少しいいかい?」

「なんだか、調子悪そうに見えたからさ。」


基山ヒロトと緑川リュウジだ。





         *      *      *




「えっ!?和奏ちゃんが来てる!?」

「マジかよ!ヨーロッパから帰ってきたの!?」


マサキが、和奏の事を話すと、二人は大変驚いたように声を上げた。


「そうか、あいつが帰ってきたのかぁ…」

「二人とも、知り合いだったっけ?」

「うん、凄く傍若無人な人だったけど。」


ヒロトは微笑んだ。


「あ…、それじゃあ、もしかして風丸と…」

「そうだ!風丸くんと…」

「風丸さん?あの、プロサッカー選手の?」


マサキがそう聞くと、二人は焦った様な笑みを見せた。


「ま、まぁ…」

「へぇー!月川さんって、風丸さんとなんか関係あんの!?」

「無いんじゃないかな!?」


焦って話をそらそうとする二人。


「…ばれちゃったら、大変だもんねぇ」

「…うん。」


何か小声で耳打ちしていた事を見て、マサキはため息を吐いた。


「…それで、『金色の懇願姫』のことを、何か分かっているように口調で和奏ちゃんが言っていた、と」

「そうですよ。」


すると緑川が間に入ってきた。


「和奏が何か企んでる事はないんじゃないかなー?」

「え?なんでそう言えるんです?」

「だって、和奏だから。」

「はぁ?」


緑川はマサキをなだめるような優しい声でしゃべった。


「和奏は、一人で何でもかんでもやろうとするけどいい奴なんだよ。
 誰かのために一生懸命でさ。
 まぁ、態度が悪いからマサキが気に入らないのも分るけどね。」

ヒロトがその話に再び入ってきた。

「だから、マサキはマサキで、和奏ちゃんは和奏ちゃんで行動すればいいんじゃないかな?
 和奏ちゃんなら、あとで乱入してくるかもしれないし。」


話をすべて聞き終えたヒロトと緑川は、部屋から出ていく少し前で足をとめた。






「『金色の懇願姫』…なんて七不思議、俺たちの時代にはなかったけどね。」







         *      *      *







——貴方なら、この悲劇を逆転させて見せれるかしら?