二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマGO 金色の懇願姫 ( No.29 )
日時: 2012/08/18 18:48
名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: aaUcB1fE)

八つ目の御話  「甘味」














「おはよーさん、狩屋くぅん?」

「…月川さん。」


マサキがお日様園を出てすぐ、和奏と出くわした。


「…なんでこんなところに?」

「私はヒロト達と知り合いだからだ。」

「はぁ?」


和奏はにっこり…とまでも行かない笑みを零した。


「『うちのマサキがテメェのせいでショック受けてんだよこの野郎、慰謝料払いやがれ』
  って言ってきたから。」


どうやら、これは嘘だろう。と、マサキは思った。
和奏は、基本的に嘘をつくのが得意ではないらしい。


「だから、ほら。やるよ。」

「…え?」


和奏は手に持っていたビニール袋をマサキに手渡す。


「なんですか、これ。」

「あむぁ〜い物。」

袋の中には、コンビニで買ったであろうデザートや、菓子パンが詰まっていた。


「…なんで急に」

「だから慰謝料だよ。」

「嘘でしょう、それ。」

「バレた?」

「ばればれです。」


そんなやり取りを繰り返す。
傍から見たらへんな二人組であろう。


「頭使う時は、甘いものがいいからさ。」

「…頭使う?別に、テストなんて近々ないですよ。」

「バーカ。『金色の懇願姫』の事だろうよ。」

「……とりあえず、学校行きましょうか。」


マサキと和奏が二人並んで歩く。
身長差は、圧倒的に和奏の方が大きい。


「和奏さんは、『金色の懇願姫』について、何か知ってるんですか?」

「まぁ、少しだけならな。」


マサキは頭の中で、架那琥の事について整理していた。


「そんなに深く考えるなって!
 一回落ち着いたら、簡単にわかるもんだぞ?」

「解らないから落ち着けないんですよ…」

「そっかー…」


すると、和奏がマサキの持っていた袋から菓子パンを一つあけ、マサキの口へ突っ込んだ。


「ん!?んんんんんんんん!?」

「なんて言ってんのか分んねぇよ…」

「なッ、なにするんですか!?」


すると和奏が、悪戯っぽく笑う。


「お前、どうせ飯食ってないんだろ。
 今から食っとけ。腹減ったらわかるもんもわかんなくなる。」


——この人には、敵わないなぁ。


マサキは静かに思った。

パンの味は、とてもとても甘かった。


「俺、朝練あるんで…」

「私も部活に行くぞ?可愛い後輩だから、面倒見てやらないとなぁ」


部室に入ると、和奏があからさまに嫌な表情になった。


「?月川さん、どうしたんですか?」

「いッ…いや?別に、ちょっと先に帰るな…はは、は…」


すると、部室内に響く男性の声。









「和奏ぁぁぁぁッ!!
 また食器ちゃんと洗わなかっただろ!?」

「っるさいなぁ!!
 あらったっつーの!」

「泡がまだついてただろ!?
 しかも水分がまだ残ってたし!いつになったら家事手伝ってくれるんだよ!」



そう、和奏と喧嘩の様なやり取りをしていたのは———。








「か…、風丸さん!?」