二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマGO  金色の懇願姫 ( No.3 )
日時: 2012/07/29 18:50
名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: BvZBUYdW)

一つ目の御話   「金色のお姫様。」












春。

冬を越えて暖かくなり、気温としてはちょうどいい季節だ。

この春、雷門中に転校してきた少年、狩屋マサキは校舎を見上げた。



「…本当に、無駄に広い学校だよなぁ。」



ついこの間、ホーリーロードが閉幕し、部活としては落ち着いた。

結果は、ホーリーロード優勝。

まだ実感がわかない様な、曖昧な顔で、マサキは目を少し伏せた。


すると、耳元で激しくうるさい声が聞こえた。



「狩屋ぁぁぁ!
 おっはよぉぉぉぉぉう!」


叫んだ少年、松風天馬は、サッカーボールを方でに持ち、晴れ晴れとした表情を狩屋に向けた。


「うるさいなぁ、天馬君は…」

「いいじゃん!だって俺達、優勝したんだよ?」

「…それ、理由になってないから。」



そんなやり取りを広げたあとで、マサキ達は校舎へ入っていった。

校舎に入る時に見た、黄色の花が植えられている花壇に、マサキは目を向けた。



「…あんな花、植えられてたっけ?」








          *      *      *










「…今日の道徳は、読書、かぁ……」



そう、嫌々しく呟きながらマサキは図書館へ向かう。

この学校の図書館は、地下にある。

その為とても大きく、本の蔵書量は稲妻町一と呼ばれるほどである。



「大体、本なんか読んだって為になんないっつーの…」

「駄目だよ、狩屋!
 そんな事言ったら、『金色の懇願姫』に叱られちゃう!」


そういったのは、同級生の少女、空野葵だった。



「…『金色の懇願姫』ぇ?」



マサキの頭には、大きなクエスチョンマークが浮かんでいた。


「なに、それ?」

「え?知らないの?」


葵は、にやにやしながらマサキに語りかける。


「もうこの学校中じゃ、有名な七不思議のひとつだよ?」

「…七不思議、ねぇ。
 なんか胡散臭い話だなぁ」


そう告げると、葵はあからさまにおこった表情を表した。


「胡散臭いって、酷い!
 せっかく、人が教えてあげようとしたのに!」

「誰も言ってほしいなんて、頼んでないし…」


そう告げると、葵はマサキから離れてしまった。

マサキは、後味が悪そうな顔を一瞬浮かべてから、再び図書館へ向かった。












                       ——ぐすん、











はなをすする音が、一瞬響いた。













          *      *      *












図書館へ入った後も、マサキは一人、うかない顔をして本をあさっていた。


——ったく、そこまで話を提示しながら居なくなるってなんだよ。
  どうせだったら最後まで話を聞かせろよ。


どうやら、『金色の懇願姫』の事について考えているらしい。


——懇願姫って事は、何かを願っているのか?
  それって、俺達が願うのか、その姫さんが願うのか…?




その事をずっと頭に入れながら、マサキは本を一冊選んだ。