二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

火事と喧嘩は村の華 ( No.2 )
日時: 2012/08/04 12:51
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

 さわさわと。
 青々とした稲穂が涼やかな音を奏でる。
 のどかな田園風景の中では十二、三歳くらいの子供たちが元気に走り回っていた。

 「その汚い顔を向けないでもらえませんか?反吐がでそうです。」
 「奇遇だな。俺も丁度そんな気分になってたところだ。どうだ、その 首飛ばす手伝いをしてやろうか?」
 「ははっ、じゃあお返しにあなたの首もとってやりましょう。」
 ……訂正しよう。
 十二、三歳くらいの少年二人が互いに黒い言葉を吐きあっていた。
 一方は青みのかかった黒髪に、紫の目をした少年。もう一方は浅葱色の髪を高い位置で結い上げた少年。
 ……なのだろうか。服装こそ男物だが、その顔は少女のようにあどけない。
 「もう一度言います。死んでください。」
 「その言葉、そっくりそのまま貴様に返そう。」
 「じゃあ僕は、それをさらにあなたに返してあg」
 「何やってんだお前等!!」
 突如として二人の間に銀色の影が割り込んだ。
 その影は彼等の首根っこを掴むと、互いに引き離す。いきなりのことに驚きつつも、二人は影の顔を見上げた。
 「いつまでたっても帰ってこねぇと思ったら、こんなとこで喧嘩しやがって。この暑い中、俺がどんだけ走り回ったと思ってんだ?」
 「でも銀時先生!閃の奴が俺に突っかかってきたんですよ!?」
 「何言ってるんですか。先生、先に手を出してきたのは棗です。」
 少年達は、互いに互いを指差しながら自己弁護する。
 影——銀時のこめかみに青筋が立った。
「喧嘩両成敗じゃああぁぁぁぁ!!」

 ごつ、というすさまじく痛そうな音が村に響いた。