二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: レッドレイヴン 赤イ翼ノ執行人 ( No.1 )
日時: 2012/07/30 19:00
名前: 東洋の帽子屋 (ID: cSy8Cn7x)
参照: http://

『あれ?シャルル。僕達、何処に向かうんだっけ』
『アラバントだろ。アラバント。アンナのジョルダー二一家が素締めしている街だ』
『アンナ? それが今のジョルダー二一家当主の名前か』
『ん?ウォルターは知らないのか??』
『ああ、初めて聞いたな。どんな奴??』
『えっと…………』

第一話

 床に散らばるあまたの書類と、机の上に積み重なる分厚い本の数々。いつもここに呼び出されるたびに、眼帯の下の右目がうずく。

 「やあ、おはよう。良く眠れたかい?」
 「良く眠れてないけどそれでも、あんたは僕をかり出すんだろ。カルロ裁判官」
 どうせいつものことだと、僕は伏せ目がちにため息をついた。
「ああ、その通りだ。君も僕のパターンが読めるようになってきたんだな。いやぁたいしたものだ」
「ほめられても嬉しくないよ」

こんこんっ

 「ああ、多分ウォルター君だろう。入りたまえ」
 「はよーっす。おー今日も寝癖が酷いですね。カルロ裁判官」
 「これは天然性のものなのだよ。君はいつも、一言が多いようだな」
 カルロは口の端をわずかに上げて、苦笑いして見せた。
 そんな微妙な空気など読みもせず、ウォルターは僕を見るなり何か不思議なものでも見るかのような目をした
 「アンディ、おまえ良く時間通りにおきてこられるな。俺なんていつも三十分遅れるのがお決まりだってのに」
 「目覚ましなっても、あのゴミの山の部屋じゃ探し出して音止めるのが難しいだろうしね」
 「まームカツク。おまえ、俺より余計な一言が多いんじゃねぇの」
 ウォルターはわざとらしく声を上げ、ドアに寄りかかると腕組をした。
 「んで?今日のお仕事は??」
 表情は相変わらずにしても、ウォルターは声のトーンを一つ落とす。
 「……それじゃあ、本題に入ろうか。今日は二人に、特別な任務を行ってもらいたい」

 「特別な任務?それじゃあ、マフィアやスキャッグス関係の仕事じゃないってこと?」
 「まあ、そういうことだな」

 チッ、と僕は心の中で舌打ちした。スキャッグスやマフィアがらみじゃない仕事に奴等が絡んでくる可能性は低い……。

 思わず、フッとため息がもれてしまった。

「…………アンディ君。すまないね」

ハッ、と我にかえった。
カルロを見ると、らしくもなく申し訳なさそうな顔をしている。

……そうだ。僕はRRのアンディなんだ。
今さっきの僕はRRのアンディじゃない。自分の考えを混ぜ込んだ「ただ」のアンディだ。

「なにがさ? 僕はRRだ。上官の命令に従うのは、当たり前のことだろ」
「フッ、そうだな。じゃあ、改めて詳しいことを話そう」




「で、ここがその目的地か。アラバントだっけ??アンナっていうマフィアのボスがしめているって言う…………そのアンナってどんな奴?」

 僕達は、カルロに言われて再びアラバントの街を訪れていた。アラバントの街は特に名産や、優れた技術があるわけではないが、街の人たちはアンナのファミリー、ジョルダー二一家を心から信頼している。
 そういう意味では、ほんとうに珍しくて心豊かな街だと思った。
「あれって、ボスって言うのかな??」
「いや、言わないだろ。むしろ、言わせるほうが難しいよな」
「そうそう」
「おーい。何こそこそしゃべってんだよ」
ウォルターの棺は重い。後からよたよたとついてくる。
「ウォルターの悪口」
「そうそう」
「ええっ!?」
ウォルターは、もう限界。とつぶやいてそばにあったベンチに腰を下ろした。
「あ〜ダルイ」
ウォルターが数メートル後ろのベンチに腰掛けたが、いちいち戻るのも面倒なのでその場で叫んでみた
「なに座ってんだよ。さっさといこうよ」
「悪い。先いっててくれ」
「ったく……」
僕はまた歩き出し、ウォルターのことをその場に放置した。
 でも…………。それが大きな過ちだった。

↑上のはレッドレイヴン第一話です。これ以降は、レッドレイヴン×鋼の錬金術師に掲載させて頂きます。
時間があるときに、すべてをこちらに移す予定です。
ご不便をおかけしますが、ご理解下さい。