二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: レッドレイヴン 赤イ翼ノ執行人 ( No.2 )
- 日時: 2012/07/31 07:44
- 名前: 東洋の帽子屋 (ID: Sr8Gveya)
- 参照: 久々の更新…約一ヶ月くらいかな?
ギャリンッ、といういやな金属音が辺りに重苦しく響く。
「まるで、赤い蠍の尾みたい…っは! アンディ!!」
横を通りすぎたかと思えば、次は鎖を振り回し背後から迫ってくる。
「…っの!!」
ガッ、
ボクはギロチンを地面に突き刺し、それを足場に跳躍した。すぐ下を赤い鎖が掠めていく。
「ちっ…じゃあ、こっちだ!」
バジルは、鎖を思いっきり上に振り上げた。
「上からっ…! アンディ!!」
「アンディさん!」
(…あ、間に合わないな)
地面に足をつくよりも、赤い蠍の尾がボクの体を粉砕する方が早い。
……あれ、空ってこんなに広かったかな。
「つまらない。やりかえしもしないのか。どっちが三流役者だよ?」
ニタリ、バジルはわざとおどけて見せる。
別れを惜しむようにため息をつくと、一気にそれを降り下ろした。
「先に逝けよ」
チッ、と空気と摩擦をおこしながら赤い蠍は迫ってくる。
火花を起こし、風を切り。それはまさしく執着深い生きた蠍のようだった。
「……くそっ!」
「待ちなさい!! リナージュっ!」
アンナがとめる間もなく、リナージュは走りだし、落下途中のボクの前に飛び出した。
「リナー…え?」
アンナが足下を見ると、子供達がズボンを掴んでいる。そしてアンナを見上げ
「大丈夫よ。おねぇちゃんは強いから」
と、自信たっぷりに喜んだ。
「でもっ…!」
アンナはリナージュを振り返る。彼女は、依然そこから動いていない。
「あの子、何を…」
「なんだ?ガキ。…ああ、お前が今回の元凶か。だったら……」
バジルは武器を握る手に力を込めた。
「お前も潰してやるよっ!!!」
鎖の迫る速度が一気に加速する。 激しく火花をまとい、もはやバジルの武器は燃えていた。
「……そう、貴方もそのタイプなのね」
リナージュの声はとても静かだった。どこにも焦りを感じさせず、余裕綽々といったようだ。
「…でも」
ボソリと呟くと、ワンピースの袖から何かを素早く取り出した。
それは、純白に輝く"大鞭"。
拷問道具とは裏腹に、神々しいイメージを思わせる。
「私の方が、扱いには慣れているのよ」
「なっ…なに?あれは……」
アンナは突然の武器の出現に驚きを隠せず、声をもらした。
(鞭なんて、一体どこから……)
リナージュは鞭を振りかざし、その辺り一帯を叩く。
「せいっ!!」
バシインッ!
土ぼこりが舞い、辺りは視界が悪くなっていく。
「むっ……」
バジルは顔をしかめた。そして……
次の瞬間、ガリュッと物を深く抉る音がした。
しかし、バジルが仕留めたのはアンディでは無く……。
「ちっ。外した…」
地面に転がっている数多のコンクリートの固まりの一つだった。
コンクリートは抉られた部分が腐蝕し、黒いクズとなってボロボロ落ちていく。
「……貴様」
バジルは"猛毒蠍"を引き寄せると、今度はリナージュの方にそれを投げつけようとした。
「違う! ボクはこっちだ!」
途端にギロチンを手に取り、ボクはバジルに切りかかった。
不覚の事態にバジルは反応しきれず、肩に斬撃を受ける。
「……どいつもこいつも!!」
「それはこっちの台詞だ!! スキャッグスは相変わらずからっぽの力しか与えないっ!ただの子供騙しにどいつもこいつも浮かれているだけだ!!!」