ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

　２

「・・・ここか？」

「こんな場所、あったんだ。知らなかった」

　コンクリートでできた部室棟には似合わない、巨大な木製の扉だった。このおかしな扉に関して、理事長の娘たる夏未なら何か知っていそうなものなのだが・・・。

「今日、風邪で休みなんだよなあ、夏未・・・」

　思わずポツリとつぶやいてしまう。みんな俺の意図を察したらしく、フウッと一斉にため息をついた。

「これ、合鍵とかあるのか？春奈」

「合鍵もなにも、普通に開くそうですよ」

「どれ？」
　

　円堂がなんの躊躇いもなくドアノブに手を掛ける。

「え、円堂くん。気を付けて・・・」

　マネージャーの秋が心配そうに声を掛ける。その間にも、扉は円堂の手によって少しずつ開いていく。やがて部室棟の中が見えてくるかと思いきや————。

「・・・？」

　そこには部屋も、通路も、階段も、存在していなかった。真っ暗な「闇」だけが広がっていた。

「・・・閉め、たらどうだ？」

　風丸が円堂に話しかける。しかし円堂は彼を無視し、扉の中に一歩踏み込んだ。

「！！　おい！」